転職成功が一転、無職に逆戻り。失業者の迷走と絶望【転職回顧録-倒産編8/8】

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あらすじ

再就職に成功して安堵していたのも束の間、まさか倒産で失業するとは思いもしなかった。

そしてついに迎えた退職日。

このやり場のない気持ちをどこにぶつければいいのか。

そして、無職男とその妻は、最後の日をどう過ごしたのか?

絶望と迷走の退職日

退職日が来るのは長いようで短かった。

これで明日から私はまた、失業者に戻ってしまう。

ただ、残務処理のために会社にもう少しだけ残る人もいる。
私はその人たちのためにも十分な引継ぎを行った。

自分が担当していた仕事の状況や、作業効率化のために作ったツールやDBの使い方を書類や口頭で説明してきた。

一通りのことは伝えたので、もうやり残したことはない。

その日は、同時期に退職する人たちと一緒にお昼ご飯を食べ、夕方前に会社を後にした。
毎朝通っていたこの道から見える景色も、今日で見納めだ。

都心のビル群を眺めながら、この小さな公園の脇を通るのが好きだったのに…

ふたたび迷走人生が始ろうとしていた。

思い返せば、この会社に転職してきてから本当に色々なことがあった。

会社の設立年数が浅かったということもあり、当初は手探りで業務を行いながらも、誰もが知っている大企業と仕事をしたり、これまでにない充実感があった。

難しい案件も、同僚と協力して乗り越えてきた。

このまま定年まで勤めあげようとも思っていたし、妻もそんな私の将来性を信じていた。

しかし、現実は残酷だった。
こともあろうに「倒産」という最悪の結末を迎えてしまったのだ。

そんなことを考えながら、会社から最寄り駅までの道のりを歩いていた。

さて、これからどうしようか。

今後の悩みは数えきれないほどあるが、最も気にかかるのが当面の生活費だ。

幸い、今回の退職は会社都合のため、失業給付金は即日支給される。
また少し上積みされた退職金も振り込まれるので、その点だけは不幸中の幸いだが、それも長くは続かない。

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妻へのささやかなプレゼント

妻にはお金のことでこれから迷惑をかけることになる。

そこで、せめてもの気持ちとしてピアスをプレゼントすることにした。

はたしてこれは、謝罪の意味なのか、それとも、一緒に生活を支えていくための激励の意味なのか…。

自分でもこのプレゼントの意味がよく分からなかったが、とりあえず何かを贈らなければならない気がした。

「どうせ買うなら、安物よりはちょっと値が張るものがいい。」

そう思って、諭吉三人分くらいのものを選び、包装も少し豪華なものにしてもらった。

家に到着して玄関のドアを開けると、妻が「お疲れさま」と労いの言葉をかけてくれた。

彼女の表情は思いのほか明るかった。
きっと私のことを気遣ってくれているのだろう。

妻はこんな無職男にも優しかった。

そのあと、私の慰労と激励を兼ねて食事に出かけた。

この日だけは、悲観的なことは話さず、新婚旅行先での出来事など、なるべく楽しい思い出を話すようにした。

頃合いを見計らって、感謝の言葉とともにさっき買ってきたピアスをプレゼントすると予想以上に喜んでくれた。

奮発した甲斐があったというものだ。

この日はプレゼントを渡して少しだけ豪勢な外食をした以外は、普段とおりの一日を過ごした。

そうすることで、かえって気持ちを落ちかせることができた。

嵐の前の静けさといったところだろうか…

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◆ 転職回顧録-迷走編1/18へ続く↓↓

次回、新章へ突入!再就職を焦った男は迷走し始める。はたして自分に合う仕事は見つかるのか?

失業中年、迷走の転職活動【転職回顧録-迷走編1/18】
どうせもう、まともな企業に再就職することは無理だ。何をやりたいのか分からない。ここから迷走がはじまった。
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