内蔵允(くらのすけ)留守

その日は急に天気が荒れてきた。

猛烈な雨が降っていたうえに遠くで雷鳴も聞こえる。

そろそろ図書館から帰ろうかという頃だったので、困っていた。

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天気が回復するまで作業を続けようにも、PCのバッテリーはもうほとんど残っていない。

それに、長時間の作業に少し飽きてきたうえ、ディスプレーを見続けたので目も疲れてきた。

そこで、せっかく図書館にいるので読書でもすることにした。

5分ほど館内をウロウロしていると面白そうな本を見つけたので手に取ってみた。

それは「山本周五郎」の短編集だ。

内蔵允(くらのすけ)留守

収録されている作品はどれも1時間ほどあれば読めるもので、暇つぶしにピッタリ。

なぜ山本周五郎の本を手にしたかというと、私はもともと彼の作品が好きだからだ。

そもそもの始まりは中学生の時。父に勧められて「さぶ」という長編作品を読んだのがきっかけだ。

この作品をジャンルに分類するとすれば、人情長屋もの。

時代劇のような古臭い感じがして、当時中学生の私はあまり気が進まなかったが、いざ読んでみると止まらなくなった。

なにかに感動したということはないのだが、とにかく面白くて、どんどん読み進めていった。

そんなことを思い出し、あの頃から30年近くも経った今、再びこの短編集を手に取ってみた。

読んだのは「内蔵允留守」という作品だ。

この作品はたしか、中学校で使用していた国語の教科書に掲載されていたと思う。
そのころを思い出して久々に読みたくなった。

主人公は若いお侍さん。

剣の修行のため、達人とうたわれる老人を訪ねるところから物語は始まる。

しかし、その老人は旅に出ているため、帰ってくるまで侍はその家で待たせてもらうことにした。

はたして、侍は剣術の奥義を伝授してもらうことができるのか?という話だ。

とはいってもハリウッド映画のような派手なアクションシーンはほとんどなく、話は全編にわたって淡々と進む。

しかし最後には、あっと驚くドンデン返しが待っている。

1時間もあれば読了できてしまうほど手軽に読めるにもかかわらず、読者をこれだけ驚かせる作品も少ないのではないだろうか。

ちょっとだけネタバレになるが、洋画の「ユージュアル・サスペクツ」と似ている。この映画が好きな人は、「内蔵允留守」も十分楽しめると思うのでおススメ。

おそらく、どこの図書館にも置いてある作品だろうが、こういう本は本屋で買って家の本棚に置いてもいいのかなと思う。

また、題名の付け方も秀逸だと思う。

もし私なら「留守の内蔵允」とか「内蔵允の秘密」などありがちなものにしてしまうところだ。

しかしそうではなく、「内蔵允留守」と一息で言い切ってしまうところにとてつもないセンスを感じる(なぜ留守なのかは後々、明らかになる)。

この作品以外にも「裏の木戸はあいている」という作品もあるが、これもついつい手に取ってしまうようなタイトルだ。

それにしても凡人では思い浮かばないようなタイトルだと思う。
これが才能というやつか!

最近の私

ところで、ここ最近の私は積極的に就職活動してはいるものの、まともな社会人としての生活を送っているとは言い難い。

平日昼間から図書館に入り浸り、ひたすらPCに向かっているからだ。

きっと、図書館職員も私のことを不審に思っているかもしれない。

その証拠に、私自身、図書館でしょっちゅう見かける人に対して「昼間から会社にもいかず何しているのだろう」という目で見ているし、彼らも私に対して同じ思いを抱いているだろう。

でもこの日は思いがけず山本周五郎の作品を読んだことで、少しだけ高尚な時間の過ごし方ができた。

気分が乗ってきた私は、雨が止んだ隙に急いで帰宅するとすぎに求人に応募して、資格試験の勉強もやってみた。「山本周五郎」効果、おそるべし。

「山本周五郎」という名前は知っているがまだ読んだことがない人は、一度手に取ってみることをお勧めします。
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