あるエージェントからメールが届いた。
そこには、「あなたの経歴なら数社からの内定が取れるとお見受けしました」との魅力的な誘い文句が謳われている。
それとともに、何社かの面白そうな案件が紹介されていた。
当然だが、その求人に応募するためには、このエージェントに利用申し込まなければならない。
そこですぐに必要事項を記入してフォームから送信した。
このエージェントは数年前も利用していたが、あまり魅力的な案件を持ってきてくれないうえに、応募しても社内選考で落とされてしまうことが続いていたので途中で退会したところだ。
はたして、今回は魅力的な案件を持ってきてくれるのだろうか?
いざ、面談!
そこからさらに2時間後、電話がかかってきた。
さっき登録したエージェントからだ。
一度、面談したいということだった。
以前はこちらから面談を希望しても、時間が取れないとの理由で簡単な電話面談で済まされたと思う。
それが今回は先方から直接会いたいとの申し入れがあった。対応に随分と変化が現れたものだ。
もしかしたら、ここ数年で会社としての方針が変更したのかもしれない。
さっそく日程を調整し、面談当日を迎えた。場所は渋谷だ。
会社に到着して案内された部屋で待っていると、30代半ばと思われる男性が現れた。
見るからにエージェントと思われる爽やかな青年だ。
聞けば、ここのエージェントを利用している人の年齢層は40代が随分と増えてきており、大体3割ほどの人が内定を取れているらしい。
また、確かに条件としてはなかなか不利な面もあるが、それほど気に病むことはないという。
この話を全て鵜呑みにするわけではないが、こんな話を聞くとモチベーションは上がる。
そして面談は一時間ほどで終わった。
色々なことを話し、その場で数件の求人も紹介してもらった。
電車賃を使ってわざわざ渋谷まで来た甲斐があったというものだ。
もしかしたら今回は期待できるかもしれない。
そんな淡い期待を抱きながら待つこと二日後、再度、私のもとにメールが届いた。
落胆と絶望と怒りの40代無職男
ワクワクしながらメールを開けると、そこにはこう書かれていた。
「現在、ご紹介できる案件はございませんでした」
内容を詳しく見てみると、どうやらエージェント会社の社内選考で弾かれてしまったらしい。
企業への応募すら叶わす、門前払いを受けたかたちだ。
企業側が不採用と判断したのならそれは仕方ないが、エージェント会社側での書類選考に落とされることには納得がいかない。
そもそもこれはエージェントが提案してきてくれた求人なのだ。
しかも求人の内容は私のニッチな経験が記載されており、それを満たす応募者はそう多くはいないはず。
予めメモしていた求人番号を添えて、企業への応募だけでも検討してもらえるよう食い下がってみた。
するとその日のうちに返事が来て、「検討してみたがやはり紹介することはできない」との回答だった。
それだけではなく、「この先も仕事を紹介することはできない」と言い出した。
さすがに頭に来たので再度、抗議のメールをした。
確かに私はもう若くはなく、その他の諸条件なども考えれば選考に落ちることは仕方ない。
しかし、「この先も仕事は紹介しない」という連絡はあまりに失礼で、決して頭のいい方法ではない。
そもそも最初に連絡してきたのはそちら側じゃないんでしたっけ?
「この先も仕事を紹介しない」と告げたら、相手が怒るという想像力が働かないものだろうか。
するとすぐにその上司から謝罪があり、何かあれば案件を紹介するとの連絡が来た。
しかしまあ、次の案件紹介はないだろう。それくらいは分かっている。
クレームしてから比較的迅速に謝罪が来たことを考えれば、この転職会社全般の対応が悪いわけではないだろう。
少なくとも上司はまともそうだが、落胆このうえなしだ。
客観的に見れば、40歳を超えた中年無職男の市場価値はこれくらいのものなのだろう。
後悔と焦りの無職40代
最近いつも思うのは、「もう少し若ければ」ということだ。
おそらく、エージェントからすれば40代無職はお呼びではない。
企業に高く売れない人材なのだ。
若い人材が欲しいのなら求人にそれを明記してくれればいいのだが、特例を除き、法律によりそれが禁じられている。
国は年齢差別のない社会を作りたいのだろうが、無職中年の求職者と採用側のミスマッチが頻発している。
無駄足ばかり踏まされて、私のような中年応募者の希望と手間が犠牲になっている気がしてならない。
転職会社もボランティアではないので誰彼構わず紹介することはできないのかもしれないが、せめてそれなりの経験を積んだ者であれば、年齢が高くても紹介くらいはしてくれてもいいのに…
こうなったら、同じような求人を他の転職サイトで見つけて個人で応募するしかない。
本当に厳しい世の中になった。
これから何回もこうした経験をすることになるのだろう。
ニッチな業界なだけに、広い砂浜から一粒の輝く砂粒を探すようなものだ。
こうしている間にも貯金はどんどん目減りしていき長くは続かないだろう。
本当に私を必要とする会社は見つかるのだろうか。失望と焦りがジワジワと湧き上がってくる。
しかし、やらなければ前進はない。
こうして明日も、私は自分に合いそうな仕事を探すことになる。
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