前回のゴミ屋敷視察から数日が経過
予想以上にひどい状態だったので、内部の状況をデジカメで撮影し、この部屋のオーナーに見せた。
すると、あまりのごみの山に絶句しており、何とかしてほしいと懇願されたので、早速、業者を探してゴミ撤去を依頼することにした。
本来なら評判の高い業者をネットで探して依頼したかったのだが、その親族の意向で、昔からの付き合いのある業者に依頼してほしいとのことだった。
そこで一昨日、その業者と簡単な打ち合わせを行い、現状の確認と作業の段取りを打ち合わせして、昨日、作業に入った。
私と知人の立会いの下、朝八時半から作業を開始。しかしこの業者、全く使えなかった…。
作業員は3名来たが統率がとれておらず、バラバラに作業している様子。本当にプロか?と思うほど手際が悪い。
もし私がリーダーなら、ゴミを運び出すための導線を確保するため、まずは玄関から奥の部屋への通路にあるゴミの山を撤去し、そこから持ち場へ人員を割り振る。
そして、まずは大きいものからガンガンと処分させる。
しかし、この業者はそうではなかった。いきなり各作業員が奥の部屋に向い、小さいものをチマチマとゴミ袋に入れ始めた。
ゴミの撤去作業とはこんな風にやるものかと見ていたが、徐々に「もしかしてこの業者、ダメなんじゃないか?」と思うようになってきた。
いつまでたっても部屋が片付く様子がない。
そして昼時になると、依頼主であるこちらには一言も声を掛けないまま、3人全員が一斉に昼食のために外へ出かけてしまった。
結局、彼らが昼食から帰ってくるまでの約3時間、私には何の連絡もなかった。
昼飯を摂るために現場を離れることは当然だが、こちらに一声かけないまま外出してしまうのはそもそもおかしい。
作業員が突然、現場からいなくなってしまったら、依頼主が不安になるということに思いが至らないのだろうか?
そして、昼休憩が長すぎ!
そんなこんなでイライラした気持ちでいたところ、ふとあることに気づいた。
「そういえば、まだ水回りのチェックが終わっていない!」
ゴミ屋敷の最深部
キッチンはどこにいてもすぐ目につく場所にあるので、その状況は確認していた。
使いかけの食器やカピカピに乾いた生ごみが散乱し、茶色のシミがシンクのいたるところに付着しているという、大体の想像とおりだった。
しかしあまりのゴミの量に圧倒されてしまっていたため、風呂場や洗面台の状況は未確認のままだった。
入居するのならば、ここの状況確認は欠かせない。
そこで、ちょっと様子を見てみようと風呂場や洗面台に行こうとしたが、そこに通じる廊下が見当たらない。
ここは分譲マンションだから風呂なしということはあり得ない。
数分ほどキョロキョロと周りを見渡してみると、奥に通じる薄暗い廊下が玄関わきにあることを発見した。
実は、業者がゴミを積みあげてしまったため、風呂場と洗面所に通じる廊下が隠れてしまっていたのだ。
まったく、本当にダメダメ業者だ。
なんとかゴミの壁を切り崩して、ゴミの山を越えながら奥へ進んでいった。こうなったら、もはやジャングルと同じだ。
ノブをゆっくりひねってドアを開ける。ここがゴミ屋敷の最深部だろう。緊張が走る。
おそるおそる中をのぞいてみると、その状況はまさにカオス。
洗面所の床一面に下着が散乱しており、悪臭が漂う。洗濯機には汚れた衣服がいくつも突っ込まれており、中を覗くこともはばかられた。
そして、風呂場の様子はというと…これもなかなかのものだった。
洗い場には黒カビがびっしりと生え、空のシャンプーやらボディーソ-プがたくさん転がっていた。
こんな状況でも、シャンプーやらボディーソ-プは使っていたことを思うと不思議ではあったが、ここには靴を履いていても入りたくない。
浴槽にはフタがしてあったが、それをとって中を覗き込む勇気はとてもなかった。
もしかして、見たこともない生物が汚れた水の中で泳いでいるのではないか!?
報告のために状況をデジカメで撮影したが、レンズ越しでも目を背けたくなるほどの惨状だ。
作業終わりに…
こうして都会のジャングルを探索し終わると、時刻はもう夕方になっていた。
そろそろ今日の作業を切り上げようと帰り支度をしていると、業者から声を掛けられた。
色々と言っていたが要約すると、「ゴミが多すぎる。なんとかならないか?」ということらしい。
おいおい、こちらが何とかしてほしいから御社に仕事を依頼したんですけど…
ゴミが多いとはいえ、捨てるものと捨てないものの指示は出していた。処分せずに残しておいてほしいものには張り紙もしてある。作業自体は進められたはずだ。
それにこちらはずっと現場にいたのだから、困ったことががあればすぐに相談に来てくれよ…
これはとんでもないハズレ業者を選んでしまったようだ…。
もしかして、作業員全員がアルバイトなのかもしれない。もしくは、こちらが素人で何も分からないだろうから適当に仕事をしようと考えているのか?
その日の帰り、この業者を推していたオーナーに今日の顛末を電話で報告した。
一日立ち会った私と知人は、この業者を切ったほうが良いということを伝えたのだが、部屋のオーナーからは、付き合いもあるのでなんとか続けてほしいと頼まれた。
それにしても当初は、広い新居にスンナリと引っ越しできるかと思っていたが、そうもいかないようだ。
なんか余計な仕事が増えた気がする…
ここに住めるようになるには、ゴミの撤去後、さらにクリーニング業者に部屋をキレイにしてもらわなければならない。
本当にこの部屋は人が住めるほどキレイになるのだろうか?
そして、この部屋に引っ越しでできるようになるのは、いつになるのだろうか?
少なくともあと一か月はかかりそうな気がする。
これも仕事と思えばなんとか最後まで作業をやり遂げられそうな気もするけれど、想像以上に骨が折れそうだ。
◆真・転職回顧録-ゴミ部屋編 4/12へ続く
次回:40代無職中年男とゴミ部屋のその後