ここ数日、これまでにもまして色々と考えた。
自分は一体、何がしたいのか。やりたいことが分かったとして、地元に帰るべきかどうか。
両親の意見や自分の気持ちと向き合って、随分と悩んだ。
やはり自分でやろう。そう決めた。
もう再就職は絶望的だろうし、会社で働くことにも疲れた。
自分で仕事の方向性を決めて、自分だけの力でお金を稼ぎ、全ての責任を自分で取る。
大変ではあるが、ここは公私混同しながら仕事を楽しむことに決めた。
結局、最初に考えていたとおりの方向性だ。それでいいと思った。
そして昨晩、その思いをあらためて両親に伝えた。
すると母は、地元を離れて再び上京することには賛成のようだったが、私がやろうとしていることには反対のようだった。
父は全ての考えに反対だった。
まぁ、当然だ。誰が効いても私の考えには反対すると思う。
でも、もう決めた。
それを聴いた父の一言。
「じゃあ、好きなようにやってみろ」
父が折れた。
納得しているわけではないと思う。納得というよりかは呆れ気味の発言だった。
これ以上私に何か言っても無駄だと悟ったようだ。
しかし、これで両親に十分な説明を果たすことができたとは思っていない。まだ不十分であることには間違いない。
この歳になってもまだ両親に心配をかけていることに謝罪した。
本来なら孫の顔を見せてあげてもおかしくない。
旅行の一つもプレゼントしてあげたかった。申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
前職を辞めたときのように、また見切り発車で自営の道を進もうとしている。ただ、あの時と違うのは、この仕事をやってみたいという次の目標があることだ。
それ以外の違いはないが、これは一つの進歩だと思っている。
これからは結果を出すことで安心させるしかない。
その夜はなかなか寝付けなかった。布団のなかで色々考えた。
私には何か行動を起こす前に色々と考えてしまう癖がある。
短所であり長所でもあるが、どちらかというと、これまではあまりプラスに作用してこなかった気がする。
だから、これを機に考え方を変えようと思う。
なかなか芽が出ずにダメになりそうなら、アルバイトでもすればいい。
世間的に中年フリーターは白い目で見られるだろうが、そんなことはどうでもよくなってきた。
根気よく続けて経験値を積んでいけば、一人が食べていくことくらいはできるようになるかもしれない。いや、そうならなければいけない。
恐いのはもちろんだが、それでも一歩踏み出さなければ前進できない。
世の中には起業した人は山ほどいる。
成功した人も失敗した人もいるだろう。
でも、みんな不安と戦いながら、恐怖を乗り越えてきたのだろう。その精神的なタフさはあらためて尊敬する。
昔見たアクション映画かサスペンス映画だったか、そのワンシーンにこんなセリフがあったことを思い出した。
「老人をおいぼれと思うな。生き残りだと思え。」
今更ながら、本当にそのとおりだと思った。
そしてやっと、私と両親の話し合いはひとつの結末を迎えることになった。
◆真・転職回顧録-帰省編 15/16へ続く