友人からの連絡
彼は私が新卒で入社した会社の同期で、かれこれ15年以上の付き合いがある。
同郷ということもあり、最も親しくしている友達の一人だ。
私は奥さんや子供達のこともよく知っている。
なんでも、一家で近くの遊園地に遊びに来たらしいので、晩飯でも一緒にどうかということだった。そこで、私の家に遊びに来ることになった。
彼の家族構成は奥さんと子供二人の4人家族。子供二人は4歳と2歳でまだ小さい。
急いで部屋を片付け、無職だと分かりそうな書類などは全て棚に片付けた。なんとも情けないワンシーンだ。
スーパーでの疑似父親体験
急いでトイレをキレイにして、子供が床を寝転んでも服が汚れないように部屋に掃除機をかけ、準備万端。
ちなみに妻は仕事で終日出かけており、自宅には私一人だった。
だからこの突然の訪問のことは全く知らない。
やがて家の近くに到着したとの連絡が入ったので、迎えに行った。
子供二人はこの前見たときよりも大きくなっていたが、まだ少し私を警戒しているようだ。
近くのスーパーで子供用のお菓子を買ったりしているうちに、やっと慣れてきてくれたようで、一緒に手をつないだり、だっこしても嫌がらなくなった。
お菓子や飲み物など、ひととおりの買い物を終えて自宅に向かった。
傍から見れば、私が父親のようにも見えるだろう。私ももうそんな年齢だ。そんな時に無職の自分が情けなく思えてくる。
賑やかなひととき
私の家で遊んでいると、いつもと違う環境に子供達もだんだんとテンションが上がってきたようだ。
ソファーの上でゴロゴロしてみたり、私の膝の上に乗ってきたりと楽しんでくれていた。
やはり、子供はかわいい。
あの会社が倒産していなければ、今頃は私もこんな家庭を築いていたのだろうかと思う時がある。
ちなみに、友人は私が前職を辞めたことはまだ知らない。
やがて夕食時になり、宅配ピザを注文することになった。
ピザなんてここ何年も食べていないから私までテンションが上がる。食べ物のことで興奮するなんて、全く情けない40代だ。
やがてピザが届き、みんなで食卓を囲んで賑やかなひと時を過ごした。
『今、ここで私が無職であることを告白したらどうなるんだろうか』などと思いながら、それはグっと心にしまっておいた。
食事が終わると、床にヨガマットを引いて、その上で子供と遊んだりして、非常に楽しい時間を過ごすことができた。
しかし、彼らが帰宅してしまうと、それまでが賑やかだった分、反動が押し寄せてきて急に寂しくなる。
そして、これからのことが急に不安に思えてくる。
無事に再就職することができたらこのことを笑い話にもできるのだろうが、今はまだそこまでの余裕はない。
食器を洗いながら、これからどうなるのだろうと悲しくなってきた。
夢を見た
その夜、こんな夢を見た。
知人の紹介で私はある大企業の社長さんと食事していた。
社長は私のことを「ぜひ一緒に仕事したい人物だ」と評価してくれており、しきりに自分の会社の中途採用に応募しろと勧めてくる。
言われるがままにその会社を受験した私は、試験をなんとかクリアして、無事に内定をもらうことができ、ホッとしたところで目が覚めた。
夢だから随分と都合の良い展開になっていたが、とても気持ちがよかった。
それにしても、なんて素敵な夢だったんだろう…これが現実になればいいのに…
きっとこんな夢を見たのは、友人家族と食事を共にしたからだろう。
無職状態から早く脱出したいという思いがこんな夢を見させたのではないだろうか。
翌日、再就職成功を実現させるために、さっそく求人を探してみた。
すると面白いことに、さっきの夢に出てきた会社の求人を見つけた。
内容もこれまでの経験を活かせそうな仕事だ。
もしかして、これは何かの縁ではないか?現実との奇妙な一致に少しドキドキする。
そこでさっそく応募してみることにした!正夢になるかもしれない!
◆真・転職回顧録-再起動編 12/29へ続く
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