無職・離婚・悲惨・中年男
離婚届を提出した後、元妻と駅で別れるとき、いろんな感情が溢れそうになった。
それを無理やり抑え込んだものの、何とも言えない寂しい思いでいっぱいになった。
この駅から私の新居までは電車で1時間半ほどある。
帰宅途中の電車の中、いろんな人に目をやっては『この人に離婚歴はあるのだろうか?』などとどうでもいいことばかり考えていた。
自宅の最寄り駅に到着したのは夕方。
食欲はほとんどなかったので、途中に寄ったスーパーで適当な菓子パンを一つ買い、それで夕食を済ませた。
コーヒーを飲んで一息つくと何もヤル気が起きない。
シャワーを浴びてさっぱりしたところで、狭い部屋に布団を敷いて寝床を整えた。本当はベッドが欲しいところだが、それは再就職を果たしてからと決めている。
その日が来るまでは、フローリングの床に薄めの毛布を敷いて寝ている。臥薪嘗胆というやつだ。
布団に潜り込んではみたものの、とても眠れる気はしなかった。無理矢理目をつぶっても昔のことが次々と頭に受かんでくる。
これが無職男の悲惨な姿なのか…
そんな時、LINEのメッセージが入った。
罪悪感でいっぱいになる
こんな時間にメッセージを送ってくるのは友達くらいだろう。
大した用事でもないだろうから返信は明日でもいいかと思ったが、念のために内容を見てみることにした。
スマホを手に取って確認してみると、驚いたことにメッセージの主は元妻だった。
以前なら、夫婦でメッセージをやり取りするのは普通の出来事だったが、離婚した後ではこちらとしても受け取り方が異なってくる。
ドキドキしながらも大体の内容は見当がついていた。きっと彼女も寂しいのだ。
そもそも離婚の話は彼女の強い希望によるものだったが、いざそれが現実のものとなると、やはり平気ではいられなかったのかもしれない。
気になるメッセージの内容はやはり、『ベッドに入ると寂しくて涙が出てくる』というものだった。
今までは隣同士で寝ていたのに、急に一人になってしまったのだからそれは余計にそう思うのだろう。
こんなダメな夫に数年間も突き合わせてしまって本当にで申し訳なかったと感じている。
ただ、向こうもあまり長々とメッセージのやり取りはしてこなかった。結局、たわいもないやり取りを3~4往復くらいしてその日は終わった。
離婚後のこんなやりとりはあまりすべきではない、とも思う。
それは彼女も分かっていたようで、この日以降は同じような連絡はこなかった。だがこれでいいのだ。
特別なことがない限りこちらから連絡することはないが、もし今後も同じような連絡があったら、向こうの気が済むまで付き合うことにした。
離婚のきっかけは紛れもなく私にあるのだから。
無職40代の離婚男、寝込む…
元妻とのLINEが終わり、気付くと私は寝ていた。
翌朝、目覚ましが鳴る前に目が覚めたが、なぜだかボーっとしていて頭があまりスッキリしない。
だが、そんなことも言っていられない。重い腰を上げていつものようにハローワークと図書館に出かける。
帰宅したのは夕方を過ぎた頃だった。
しかし倦怠感がどうにも取れないし、全体的に熱っぽい気がする。
そこで体温計で計ってみるとなんと39度。こんな高熱を出すのは一人暮らしを始めてから初めての経験だ。
何かの間違いではないかと思い再度測りなおしても結果は同じだった。
そういえばずっと食欲がない。
それに加えてお風呂やシャワーが億劫で仕方なかった。私はどんなにめんどくさくても入浴は欠かさない性分なのに。
きっと早めに寝れば気も晴れるだろう治るだろうと思い、そのまますぐに就寝。すると、昨日の寝苦しさが嘘のようにすぐに眠ることができた。
そして翌朝。10時くらいに目が覚めた。
あらためて体温を測ってみるとまたしても39度。熱の引く気配は一向にない。
吐き気や下痢などの症状はないが、腰と背中が異常に痛くて寝苦しい。かといって起きているのも辛い。
もしやと思ってスマホで調べてみると、インフルエンザの症状にぴったりとあてはまる。
きっと電車でウイルスをもらってきてしまったのだ。
精神的に弱って抵抗力が落ちたところにドンピシャで感染してしまったに違いない。まさに弱り目に祟り目。
とりあえずの水分補給と、効果があるかどうか分からないが市販の風邪薬を飲み再び横になった。
前日の晩から数えると12時間は寝ているし昼前なので本来ならとても眠れるわけはないが、体調を崩していることと風邪薬の影響でアッサリと眠りに落ちた。
結局、そこから翌日の夕方まで一回も起きることなく眠った。
目が覚めると、すこし頭が軽くなった気がする。熱を測ってみると38度5分。依然として高熱が出ており、背中と腰の痛みもひく気配がない。
再度、水分補給してまた就寝。起床したのはさらに翌日の夕方。やっと平熱に戻った。
体調が戻ってから
都合、三日ほど寝込んでいたことになる。
これが離婚したばかりの無職底辺男の情けない姿だ。
以前ならこんな時に妻に色々と救援物資を買ってきてもらったところだが、悲しいかなバツイチの身ではそうもいかない。
しんどいだの苦しいだの言う相手もおらず、ただひたすら体調が回復するのを待って寝込んでいた。
この間、何も口にしていなかったので体重を量ってみると3キロほど痩せていた。髭もだいぶ伸びていた。なんともみすぼらしい中年男の姿が鏡に映っていた。
これが無職中年独身の悲しい現実だ。離婚早々、それを思い知らされた気がする。
色んな意味で残念な私だが、とりあえず体力を回復させるためにゼリーとスポーツドリンクを買いにコンビニへ向かうことにした。
ウイルスはほぼ大概に排出されたようなので外出してもOKだろう。
その日の晩
しばらく安静にしていたのとお腹に食べ物を入れたことで8割方くらいは回復できた。
寝すぎたせいで頭がまだクラクラするが、今の状態ならば起きて少しずつ日常生活に慣らしていった方がよいと判断。
そこで、いつもの資格試験勉強に取り組むことにした。
病み上がりということもあり勉強は少しお休みしたいところだが、なにせ本番はこの二日後なのだ。
インフルエンザにかかる前までに準備はほとんど終わらせていたのが不幸中の幸いだったが、できることは全てやってから試験に臨みたかったので、ここで気を緩めるわけにはいかなかった。
参考書を開くと見慣れたところばかりだ。問題集の答えまで覚えてしまっている。
ハッキリ言ってやり尽くした感があってつまらないが、これをやりきらなければ今後の展望が開けてこない。
そして一通りの勉強を終え、本試験にそなえて体調を整えるため、もう一度風邪薬を飲んで床に就いた。
受験料を無駄にしないためにもなんとしても一発合格せねば。
それにしても私はなんてタイミングが悪いんだ。後々、これが笑い話になる日が来ればよいのだが…
◆真・転職回顧録-再びの就活編 1/27へ続く
次回:40代無職男、資格試験に挑む。
はじめまして。私事ではありますが最近なかなか事がうまくいかず、ネット検索で「転落人生」で検索してみたら、大変失礼ながらこのブログがヒットしたので読まさせていただいております。
私も近々離婚が成立する40代の男です。
職場もそろそろ寿命がきそうな雰囲気で、転職の必要性をヒシヒシと感じております。
一昨年娘が誕生して以来、家庭内不和で喧嘩が絶えない状況になり、離婚に至りました。
これまで世間で言うところの「勝ち組」「負け組」といった感情は持ったことはなく、いたって普通の生活(人によって「普通」は色々ありますが、私は家族仲良く華美な生活ではなく日々の生活を送れる程度)ができたらと思っていたのですが、離婚・職場環境、他の幸せそうな家庭を見たりすると、これが「負け組」という感情なのかと何とも言えない苦しみを感じておりました。
反面、自身のこれまでの人生を振り返ると、果たして本気で生きてきたのか?という自戒の念も
少なからず湧いてきている今日この頃です。
Cafe de 無職さんのブログを拝読し、私もウジウジとしてはいられないと喝を入れられた気分になりました。私だけではないんだ、もっと頑張っている人がいるんだと前向きになれました。
今後もブログを拝見させていただきます!