無職底辺男による最終面接
気合を入れて臨んだ最終面接。
まったく予期していなかった突然のSPIをなんとか解き終わり、水を飲んで一息ついた。
5分ほど待っているとドアをノックする音が。ついに面接官の登場だ。
いよいよ本番。
ここからどんな面接が行われるのか不安で仕方なかったが、それを表情に出してしまうと自信のない人だと思われてしまう。
そう考えた私は席を立って、にこやかな表情で軽く一礼した。
面接官は、社長、執行役員2人、人事部長という布陣。いづれの人も私より少し歳上だ。
なかでも社長は、経済誌などでも時々見かける著名人なので一気に緊張度が増す。
ついに面接スタート
まずは簡単な自己紹介からはじまった。
ここで長々と話しても相手が飽きてしまうので、大体2分位で手短に済ませた。ここまでは概ね順調。
そして、いよいよ本題に移る。最初の質問は社長からだった。
『今回の求人は~の職種なのですが、〇〇についてどうお考えですか?』
社長自ら、技術的に突っ込んだ内容をいきなり聞いてきたので若干の戸惑いを覚えた。
というのも、一次面接では技術的な内容、最終面接ではパーソナルな内容というのが定番と考えていたからだ。
それだけに、社長自ら、いきなり技術的な内容をぶつけてきたことに驚いたがなんとか無難に回答をまとめることができた。
社長は「なるほどね~」と言ってはいたものの、はたして相手を満足させられただろうか…
次の質問はこれまでの経歴に関するものだった。
おそらく社長としては、ここが最も気になるところだったのだろう。
それだけでなく私自身、これは絶対に聞かれる内容だと思っていた。なにせ私の経歴はチグハグなうえに転職回数も多いのだから。
変に取り繕ってボロを出すことは避けたかったので、これまでのキャリア形成が甘かったために少々遠回りしてしまったことを素直に認めたうえで、今回の募集職種と、私が長らく従事してきた仕事がいかにマッチするかを伝え、それを今後も続けていきたいと答えた。
うなずきながら聞いてくれてはいたが、はたして内心どうだったのだろう…
次の質問役は取締役に交代となり、日常生活でのストレス解消法について聞かれた。このあたりは想定の範囲内。週末のスポーツで汗を流していることを伝えた。
そして次の質問は友人との関係性について。
まあこれは問題ない。バーベキューや食事会などで密に交流を図っていると答えておいた。本当は年に数回しか会っていないのだが、まあウソではない。
そして今度は人事部長からの質問。さきほどの社長からの質問と同様に、これまでの経歴に関するものだった。
なかでも、新卒で入社した会社を辞めた経緯についてやけに詳しく聞かれた。
あくまで前向きな退職であったことを伝えた。実情はあまりのハードワークで心身ともに疲弊してしまっていたのだが、そんなネガティブなことを面接で言うのはタブーだ。
面接が終わって
そんなこんなであっという間に予定の60分が経過した。
面接の内容も気になるが、事前課題やSPIの結果も同じように気になる。それに関しては一切、言及がなかったが採否にどれほど影響するのだろうか。
ただ、全体的に非常に和やかな雰囲気だったので、当初予想していたよりもリラックスして受け答えすることができた。
それを思うと、職場の雰囲気も殺伐としたものではないと思われる。ここはいい会社なのかもしれない。
お礼を言って部屋を退室すると、出口で受付の女性が私を待っていた。なんでもこれから、実際の職場を見せてくれるらしい。
こちらもぜひ見学したいと思っていたところなので、執務室の中を案内してもらった。中はかなり広く、百人以上の人が黙々と仕事している。
また、ミーティングルームがあちこちに設けられており、中では何やら打ち合わせが行われている。数か月後、この環境の中で私も仕事をしているのだろうか。
それだけでなく、カフェのような休憩スペースもたくさんあった。案内されてその中の一つに入ると、そこには一次面接を担当してくれた面接官と人事部の人が待っていた。
ざっくばらんな質問タイムを設けるため、ここで私を待ってくれていたらしい。きっと色々と私のことを考えて企画してくれたのだろう。この粋な計らいにちょっと感激。
そして私は、最も気になっていた職場環境について聞いてみることにした。
すると、人間関係は極めて良好で、コミュニケーションに難がある人を探すことの方が難しいくらいの会社だと答えてくれた。
その時の表情や話し方を見る限り、本当のことだろうということがうかがえる。30分位の雑談のような感じだったが、これはとても有意義な時間だった。
帰宅してから
この日の面接を振り返ると、可もなく不可もなく。確かなことは、胸を張って『バッチリだ!』とは言い切れないということだ。
不用意な発言はなかったものの、十分なアピールができたとは言い難い。これなら一次面接の方がよほど手応えがあった。
帰り道、「あの質問にはこう切り返せばよかった」など色んな反省点が頭に浮かんでくる。
途中で晩御飯を済ませて帰宅すると、どっと疲れが出てきた。極度の緊張のため精神的な疲労が蓄積したのだろう。
そのせいもあってか、ソファーで横になっていると知らないうちに1時間ほど眠ってしまっていた。
やがて目が覚めて色々と考えていると、あの会社で働いてみたいという思いが強くなった。はたして結果はどうなのだろう。
結果はまだ出ていないだろうとは思いつつもメールチェックをしてみる。やはりまだ連絡はない。連絡が来るとしたらおそらく電話かもしれない。
なんにせよ、最終面接の結果は合否に関係なく連絡が来るはず。これからしばらくはスマホを手から離すことができなさそうだ。
あまり考えたくないが、2週間たって何の音沙汰もなければおそらくダメだ。結果を問い合わせなくてもそれくらいは容易に想像がつく。
とても印象のよかった企業なだけに、不合格だった時の落胆は相当なものになりそうだ。それだけでなく、私の経歴にこれほどピッタリとした求人を見つけることもできないだろう。
不穏な兆候
面接から約1週間が経過しようとしているがまだ連絡はない。
最悪の結末を覚悟しなければならないタイムリミットが近づきつつある。期待と不安の入り混じった複雑な気持ちだ。
そんななか、この会社の求人が転職サイトに掲載されていることを見つけた。内容は私がまさに応募した職種だ。
掲載期間を見てみると、最終面接を受けた2日後から半年間。いい人が見つからなかったので、あらためて募集を開始したということなのだろうか?
ということは、私は不採用なのかもしれない。
ネットで調べてみると、同じような不安を抱える人がたくさんいることがわかった。
掲示板にもそうした悩みが多く寄せられており、それに回答している人事経験者によれば、『必ずしもその人が不採用だったことを意味するものではない。あまり気にしないほうが良い』とのこと。
だが、やはり不安は尽きない。
さて、私ははたしてどうなるのだろう?ただ、今はどんどん求人に応募していくしか手はない。
◆真・転職回顧録-再起動編 21/29へ続く
次回:最終面接の結果は?40代無職男の合否の行方…
middle-manさん
死ぬ気になってもできないことはいくらでもありますが、死ぬ気になって仕事探してますか?
最近、貴方のブログに辿り着き、興味深く隈なく読ましていただいています。
読んで感じるのは、プライドの高い人だなということ。
もう落ちきっているのだから、周りを気にする前にがむしゃらにやったら?と思います。
また、元は非常に頭の良い方だと思うので、本当に残念だなと思います。
不利な経歴だとは思いますが、空前の売り手市場の中で採用されないのは仕事のえ選り好みをしているからです。
選んでる場合ですか?