集団面接会への参加
先日の面接はうまくいかなかった。
いや、うまくいかなかったというよりも最初から縁がなかったのだろう。
こんなときもあるさ。
残念だが入社してそれが分かるよりははるかにいいと思う。
その後、気分を入れ替えて求人検索をしていたところ面白そうなものを見つけた。
ここは1週間後に開催の集団面接会に出展予定とのことなので、早速私も参加してきた。
会場の雰囲気に気が大きくなる40代無職男
場所は東京の中心にある某オフィス街。
開場の1時間前に駅に着いたので少し街を歩いてみることにした。日本有数のオフィス街だけあって、どこもかしこも洗練されている。
私も一人前にスーツにコートという身なりのおかげでで、傍からみれば誰も私を無職だとは思わないだろうが、バツイチで頭が薄くなりかけている中年の私にとっては場違いのような気がする街だ。
そんなことを思いながら歩いていると偶然にもドトールを見つけた。
ドトールなんてどこにでもあるが、せっかく都心に来たの休憩がてらコーヒーでも飲むことにした。久しぶりのサラリーマン気分を味わってみて、『こういうのも悪くないな』と悦に入っていた。
そんな一人遊びをしていると、そろそろ会場に向かう時間となった。
目的のビルに到着すると、ロビーには私と同じような人たちが大勢集まっている。誘導係に促されて地下に降りると、ざっと100人くらいがが受付をしていた。
普段何気なく生活していると気づかないが、私と同じような中年無職はたくさんいるのだなあと実感した。それと同時にライバルも大勢いることに不安と焦りを感じる。
列に並んで15分ほど待っているとやっと私の順番が回ってきた。整理券をもらって席に着く。
あらためて周囲を見渡してみると、8割くらいが男性だった。
しかし、どうも一癖ありそうな人が多かった。
例えば、バリバリの私服で来ていたり、まだ何も始まっていないのになぜかニコニコしている人、スーツなのに靴下が白かったり普段着に合わせるような鞄を抱えた人などなど…
もちろんそんな人ばかりではなかったが、特徴な風貌は良く目立つのだろう。
また、この面接会は私と同年代の人が対象だったのだが、疲れたように見える人が多かった気がする。きっと大きな不安とプレッシャーのなかで日々の生活を送っているのかもしれない。
その気持ちはとてもよく分かるので、親近感が湧いてくる。
ここで私は、緊張をほぐすための秘策を出すことにした。
あまり褒められた策ではないが、その内容とは、『外見なら私の方がシュっとしているので、面接での第一印象はこちらに軍配が上がるはず』と考えることだ。
完全に人を見下した策で褒められたものではないが、今までこれで緊張がほぐれたことが何度もあった。
申し訳ないなと思いながらも、気を大きくして自分はできる男だとの暗示をかけることで気を紛らわすのだ。
まあそんなのは一時のことで、いざ本番となれば化けの皮はすぐに剥がれるが、ガチガチの緊張状態よりもリラックスして面接に臨める。
きっと他の人も私のことを冴えない中年だと思っているかもしれない。お互い様なので、私の悲しい外見を大いに利用してほしい。
またしてもそんな一人遊びをして本番開始を待っていると、ついに面接会が始まった。
緊張はみんなするもの
面接会ではまず、各出展企業が数分間ずつ会社説明を全員に向けて行い、その後、ブースごとに面接が一斉に行われるというものだった。
全社の会社説明が終われば、あとは個人単位で気になるブースに行けばよい。
壇上で会社説明を行うのは社長さんだったり人事担当者だったりとマチマチだったが、みんなおそらく事前に入念な台本を用意して暗記してきたのだろう。
まるで文章を読み上げているようなスピーチだったり、途中で頭が真っ白になって数秒間、固まってしまったりという光景を見ると、ガチガチに緊張しているのがよく分かる。
こうした場に慣れてるはずの偉い人でも緊張するもんなんだなあとしみじみ思った。そして、この体験は今後の面接のために大いに勉強になった。
というのも、志望動機やアピールなどを丸暗記した内容を面接で話すと、無意識に棒読み口調になる。そうなると面接官は、私がこの時感じたことと同じ感想を抱くに違いない。
自然な感じで話すために丸暗記はやめようとをあらためて誓った。
ただ、そうした人達のなかでも、大手広告代理店や人材派遣会社出身の社長さんはスピーチが非常にうまかった。制限時間内に要点をしっかりまとめていた。
やはり経験って大きい。
そして無職は目的ブースに向かう
そしてついに面接スタートの時間となった。私のお目当ては1社のみ。
しかしこれは会場入りして分かったことだが、そのお目当ての会社は非常に人気が高かった。他社の10倍くらいの希望者がいるらしい。
私は少し早くに会場入りしたので比較的若い番号の整理券をもらうことができたのだが、それでも面接まではなんと2時間待ち。
ここは耐えるしかない。
待ち時間を利用してブログ記事の一つでも書きたかったのだが、万が一、順番の繰り上げがあった場合に備えて会場内で待つことにした。
他のブースを冷やかしで眺めに行ったり、パンフレットを見たりして時間をつぶすこと1時間半、予定よりも早く順番が回ってきた。
しかしなにせ希望者が多い。そのため、割り当てられた時間は約10分と短いものだった。
そして相手はいきなりの社長だった。
手応えのほどは…
社長は見たところ50代半ばくらい。
温和な雰囲気だったので、とっつきにくいということはなかった。
履歴書と職務経歴書を渡して席に着き、簡単な挨拶をすますとまずは簡単に経歴と志望理由を聞かれた。
そこはあらかじめ用意していたので、先日取得した資格のことを伝えるなどのアピールをスムーズに行うことができた。まずは第一関門突破という感じだろうか。
そんな安堵の気持ちも束の間、40代無職中年男は痛恨のミスをおかす!
この企業は複数の職種で募集をかけていたのだが、私は自分の希望職種を誤って伝えてしまった。幸い、社長さんの方が途中でそれに気づいてくれたのだが、これでは事前研究の薄さがバレバレだ。
なんとかその場は取り繕ったが、あり得ないミスをしてしまった。きっとどこかに気の緩みがあったのだ。まったく情けない。
あっという間に制限時間が来たので、『ぜひよろしくお願いします』と一礼して会場を後にした。結果は後日、メールで連絡するという。
はたして、さきほどのミスがどれくらいの影響を与えるのか、心配で仕方なかった。
それにしても多人数かつ短時間の勝負はとても厳しい。採用側からしてみても、顔と名前と第一印象を一致させることすら難しいんじゃないだろうか。
その晩の出来事
帰りの電車の中では反省しきりだった。
ただ、あまり引きずっていてもしょうがない。これは今後の課題として次に活かそう。
というか、今までこんなミスを犯したことはなかったので、あくまでレアケースということでエクセルの活動表に記録しておいた。
その晩、元妻から電話があった。といっても事務的な手続きのことで連絡をとらなければいけなかったので、事前にこちらからアポをとっていたからだ。
お互いの性格が嫌いになって離婚したわけではないので、こうした時には今までとおりのトーンで会話することができる。
そのときに今日の出来事などを話した。向こうは笑っていたが、内心は『相変わらずバカだなあ』などと思っているかもしれない。
離婚の原因の多くは私にあるのだから、それはそれでいい。ただ、一刻も早く就職して以前のように私が頑張っている姿をみせたい。
だからといって復縁はないだろうし、こちらもそのつもりはないが、今の私にとってこれが大きなモチベーションの一つとなっている。
雨降って地固まるという。今回の失敗は次にいきるだろうと思い、その日以降は引きずらないことにした。笑い話にでもしておこう。
そして一週間後、待ちに待った結果連絡がきた。
結果は見事に『不合格』。
あのミスが原因だったのかは不明だが、ちょっと悔やんだことだけは確かだ。
こういう時こそきれいサッパリと忘れてどんどん次に行こうと考え、景気づけにしばらく我慢していたラーメンを食べに行くことにした。
今流行りの二郎系の店だ。
しかし食べきれなかった…そして翌朝、胃がもたれた。あまり景気づけにならなかった…。
まあこんなこともあるさ。そう思いながら新たな転職エージェントサービスに申し込んだ私。
これが新たな展開につながるとよいのだが…
◆真・転職回顧録-再びの就活編 5/27へ続く
次回:40代無職バツイチ男、バカにされて苦情を決意
筆者の前向きさとか、大人の対応には完敗ですわ。
できれば、「納得のいく」仕事についてもらいたいとは思います。
神様は見ていてくれるといいですが……
有能そうやし……
どうにか、望む仕事に就けますように。