金が必要だ
とにかく、1円でも多くお金が欲しいが、こんな私が働ける場所はあるのだろうか?
そこで、無職40代でも受け入れてくれそうな日雇いバイトを検索することにした。
最近では、日雇いや肉体労働に特化したアルバイトの検索サイトがあるので助かる。
ただし、直接雇用ではなく、登録した会社から派遣されて働くというかたちになる。
さっそく私も派遣会社に登録して、希望条件にあう仕事を見つけた。
それは工場での日雇いバイト。
特に経験は問われない。
要は、シフトに穴を開けずに働いてくれれば年齢や経験は関係ないくらいの仕事なのだろう。
当初は、このような仕事にすら採用されないかもしれないと不安だったが、さすがに肉体労働系の仕事は大丈夫だった。
これでなんとか仕事にありつくことができた。
無職の日雇い40代男、ここに誕生
服装などに厳格なルールはなく、派手なものでなければ動きやすい服装でかまわないとのことだったので、当日は、ジーパン、Tシャツ、スニーカーで仕事に出かけることにした。
それにしても、40代の働き盛りの男が日雇いのアルバイトとはなんとも情けない…
しかも交通費は支給はされない。絵にかいたような悲惨な姿がそこにある。
私はふと、学生時代にしていた引っ越し屋でのアルバイトを思い出した。
一緒に現場で働いていた40代無職と思われる男性を見て「あんな風にはなりたくない」などと思っていた。
しかし、今の自分はまさに、あの人の姿そのものだ。今ならあのときの彼の気持ちが分かる。
自分が賢いような気がして彼を見下していたが、バカだったのはあの時の自分だ。
これも因果応報というやつか…本当に恥ずかしい。
でも、今はこの仕事にしがみつくしかない。贅沢など言える身分ではなかった。
当日の朝、工場の正門に集合して派遣会社の担当者に引率されて作業場に入る。
工場といっても中の冷房はさほど効いておらず、動いていると汗が噴き出すので、汗拭き用のタオルは欠かせない。
熱中症予防のため、水分補給は各自のタイミングで取れることがせめてもの救いだ。
作業内容は、商品の入った箱を必要に応じて移動させること。黙々と、右にある荷物を左に移す。
箱一つの重さは大したものではないが、個数が多いため、常に体が動いている状態。普段から体を動かしていないとキツイ作業かもしれない。
刻々と状況が変化するため、次から次へと作業しなくてはならないが、単純作業の連続で大して頭は使わない。
それが40代無職の今の私にできる仕事なのだ。
傍から見れば、使えない中年バイトとして見られているかもしれない。
ただそんな仕事でも、集中していると時間の経つのが早い。気が付くともう昼休憩だ。
今日初めてあった人ばかりなので、当然、知り合いはいない。
休憩室の空いている椅子に座り、持参したオニギリを黙って食べる。
飲み物だけは自販機で買った麦茶だ。
ここでミネラルを補給しておかなければ、午後からの作業で倒れてしまいそうだ。
しかし、こんな仕事でも平日の日中に家にいるよりはマシだ。精神衛生的にもこれでいいのかもしれない。
昼休憩が終わり、やがて午後の作業開始時間が来た。
先ほどと同じように黙々と単純作業を繰り返す。
ここまで読むと、工場でのアルバイトはこの世の終わりのような場所だと誤解されてしまうかもしれない。
私自身、殺伐とした工場の中で奴隷のようにこき使われる姿を想像していたが、それは全くの思い違いだった。
仕事場の雰囲気は非常に良かったということはハッキリと言っておきたい。
ちゃんと指導係がいて、不明点があれば丁寧に教えてくれたし、人間関係で嫌な気分になることは一度もなかった。
一緒に働く人たちも気さくな人が多く、初日こそあまり話すことはなかったが、二日目・三日目になると会話を交わすようになり、気持ちよく働くことができた。
また、勤怠面に関してもきちんと管理されており、いわゆるサービス残業はなかった。
もし残業が発生しそうな場合は、事前に本人の了解を得ていたし、残業時間分もきちんと記録されていた。
問題は、40歳を過ぎて日雇いバイトをしている自分の情けなさなのだ。
電車の窓に映る自分の姿
やがて終業時刻となり、汗まみれのTシャツを着替えて足早に帰宅する。
帰りの電車に揺られながらふと窓を見てみると、そこには40代無職の中年バイト男の疲れた顔が映っていた。
その貧相で惨めな顔に自分でも驚く。
こんな日々を繰り返すこと三日間。予定どおり、日雇いバイトの全日程が終わった。
トータルの稼ぎは三万円にも満たないが、菓子パンの一個や二個くらいは気兼ねなく買うことができる。
それにしても40代無職の日雇いバイトはこれほどまでに悲しいものなのか。
日雇いバイトを繰り返していても、将来の展望は開けないことは分かっている。
そんなことを思いながら、今日もまたアルバイトサイトを物色している。
日雇いバイトを体験した感想
はたして、この負のスパイラルから抜け出すことはできるのだろうか?
おそらくもう、最初から正社員としての内定を取ることはほぼ不可能だろう。
一縷の望みをかけて応募はしているものの、期待は全くできない。
だとすれば、アルバイトや契約社員から正社員登用に期待するしかない。
世の中は夏休みで開放的な雰囲気だが、我々無職者にとってはまぶしすぎる。
明るい兆しが見えればよいのだが…
ただ、明日の生活費にも困るくらいに困窮している人がいるのなら、この日雇いアルバイトは選択肢の一つに入れてみてもいいと思う。
しかし、注意しておかなければいけないことが一つある。
特別な事情がない限り、そこにとどまり続けると後々、厳しい状況に追い込まれのは間違いない。
この体験談が何かの参考になれば幸いです。
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