まずなにからはじめるか
新入社員が初出社した。
前回の記事で少しふれたように、PCのセットアップや仕事の概要などは私がレクチャーした。
とはいっても、私がこの役目を仰せつかったののはその日限りはずだった。
『~さんの指導係はmiddle-manさんね』などと正式にトレーナーを拝命したわけではない。
なんとなくフワっとした状態のまま、『じゃあ後はお願いね』みたいな感じでマネージャーさんや社長から私にこの役目が降ってきたわけだ。
こうした流れからいくと、彼女のトレーナーは私に決定なのだろう。この会社ではそうした大事な役目が正式に伝達されるわけではなく、なんとなくで決まることが多い。
別に教えることが嫌いなわけではない。もしかして、教えるなかで自分自身も新たに気付くこともあるだろう。
規模の小さな会社だからこうなってしまうのかもしれない。
まずなにからはじめるか
ただ、本音を言うと私は男性を採用してほしかった。
というのは、この会社の男女比はかなりいびつで、女性が8割以上を占めるからだ。そういう職場ではなにかと神経を使う。
身だしなみや言葉遣い。男性と比べて、そういう何気ないところで嫌われてしまう可能性が高い。そうなるともう目が当てられない。
その点、男性同士ならば多少のバカを言い合ったりすることもできる。
これは私がパワハラを受けた職場で得た教訓だが、いまさらそういったことを愚痴っても仕方ない。
嫌悪感を持たれないよう、なるべく丁寧に、そしてスマートに接することを心掛けた。
そして、『〇〇さんはこんな性格で、△△さんはこんな性格だから気を付けてね』などということは絶対しないよう最大の注意を払った。
こういうところから軋轢が生まれてしまっては大変だ。
最初はツール類の使い方から
まず最初に何から教えようか迷ったが、手始めに日常業務で使用するツールの使い方から教えることにした。
とはいうものの、私が知っているのはごくごく基本的なことだけで、精通しているわけではない。
こんな状態の私がトレーナーを名乗っていいものか疑問に思うが、やるしかない。
このツールは市販されているものではなく、会社のシステム部門が独自につくったものだ。だから、疑問点をググってもヒントはなにも出てこない。
それだけにとても重要なので、ここは丁寧に教えた。
もちろん、一回で覚えろというつもりはサラサラない。何回質問してもらってもOKというスタンスだ。
ちなみに私が入社したての頃、マネージャーさんやリーダーさんに毎日のように質問していた。
そんなとき、決まってこのセリフを言われた。
私のモットー
ハッキリ言って、私はこうした発言が大嫌いだ。昔が大変だったからといって、それが何だというのだろう?
もちろん、時間を割いて教えてもらっているのだから感謝しているし、なるべく要点を簡潔に伝えるよう注意を払っているつもりだが…
しかし、こうした発言から導かれる結論は『自分が苦労したんだからお前も苦労しろと』ということだ。
まるで、みんなで不幸になろうとでも言われているようだ。みんなで幸せになろうという前向きな考えになれないものか。
数時間も疑問点に悩むくらいなら、とっとと教えてあげる方が何十倍も効率的だと思うのだが…
しかもなかには、一度ですべて覚えろなんて神業を強要してくる人もいる。
『あなたは今まで何十年もの間言われてきたアドバイスをすべて覚えているのですか?』と聞いてみたい。
何回でも教えればいい。そうでなければ覚えられない。
これが私のモットーだ。
きっと忘れている
こうしてほぼ半日かけて基本的なポイントを伝え、それ以外の専門的なことは、実際に一緒にやりながら教えることにした。いわゆるOJTというやつだ。
彼女もしきりにメモを取っていたが、きっとこの8割くらいは忘れてしまうだろう。
物覚えが悪いとかそんな話ではない。いかにまじめにやっても、人間とはそうしたものだからだ。
そんなとき、忘れてしまったことを責めるのではなく、一緒にポイントを再確認していくようなトレーニングをしていきたい。
これは新入社員のメンタルの安定にもつながると信じているし、彼女がその分早く成長してくれれば、チーム内の業務の負担を分散させることができるはずだ。
ということで、もし今後、私の指導方針に上司から指摘を受けた場合はキッチリと抵抗してやろうと思っている。
適当な感じで私にトレーナーの役割を任せたくせに、指導方針だけ指示してくるのは納得がいかないし…
それにしてもここ二ヶ月の間、私の業務も徐々に負担が大きくなってきた。
そんな状態でトレーナーとして十分な責任を果たせるのか、少し不安になる私だった。
気晴らしに、こちらもどうですか?
私の転落人生はここから始まりました
会社に行くのが嫌でイヤでたまらないみたいだけど、非正規なんだからこのコロナ不況で切られるよ。
安心しな、よかったじゃん。