40代無職がプロ野球観戦した

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二年くらい前の話。

その時も私は転職活動に明け暮れていた。

そこへ、事情を知らない友人から久々に連絡があった。
「プロ野球のチケットが手に入ったので一緒に行かないか?」

長らく会っていなかったので、野球観戦がてら積もる話でもしようという誘いだった。

無職の身なので断らなければと考えたが、妻から「久々に会う友達なんだし気分転換も兼ねて行って来たら?」と勧められたので思いなおすことにした。

待ち合わせ時間は平日夕方。サラリーマンの帰宅時間と重なる。
自分が無職であることを隠すため、あたかも仕事帰りを装い待ち合わせ場所に向かった。

当日は小雨混じりだったが、球場付近は多くの人でごった返していた。
携帯電話で連絡を取り合って友人と落ち合い、人生初のプロ野球観戦を楽しんだ。

その後、近くの居酒屋に入った。
久々に会う友人なので互いの近況など色々なことを話し、旧交を温めた。

彼はもともと地方の食品会社で研究職として勤務していたが、転勤で東京に住むことになり、よほどのことがない限り今後も東京を離れることはないということだった。

二人の子宝にも恵まれ、海外出張などをこなしながら充実した生活を送っているそうだ。

大変なこともあるだろうが、自力でそれを乗り越えしっかりと家庭を築いている。

かたや私はどうだ。会社員のフリをしているただの無職男に過ぎない。
頑張っている友人を見ると、自分と比較せずにはいられなくなる。

結局、彼には私が職探ししていることを告白できなかった。
無職であることを知られるのは自分のプライドが許さなかったのだ。

私には到底、彼のマネはできない。

彼は私よりもはるかに大人だ。
私が幼少の頃に抱いていた大人のイメージを友人は体現している

どうして人間としての厚みにこれほど差がついてしまったのか。

この時からほどなくして、私もなんとか仕事先を見つけることができたが、色々な理由がありそこも辞めてしまった。

結局私は、今もあの時と同じ無職だ。何も成長していない。

人生はうまくいかない。
人生をうまく生きられない。

それは、周りに相談できない自分の性格が大きな要因なのかもしれない。

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