前回の振り返り
まさかの事態が発生した。
それは前回記事で書いたように、後輩による突然の退職宣言のことだ。
実は以前にも似たような状況を経験したことがある。
それは私がパワハラを受けていた会社で管理職として働いていた時のこと。部下から突然、退職したいと相談を受けたことがあり、その時のことを思い出してしまった。
自分と近い距離にいる人から退職を告げられるのは本当にショックが大きい。
私より後に入り、私より先に退職してしまうなんて…
こんな時はついつい『私の指導がいけなかったのか?』なんて考えてしまう。
しかし冷静に考えてみると、そんな相手に退職の相談をするわけがない。
考えられる理由としてはやはり、入社して間もない状態で右も左も分からないまま自宅勤務になったことではないだろうか。
まずは話を聞いてみよう
私は40代半ば過ぎの年齢とはいえ、入社して一年も経っていない新米社員だ。
後輩の出処進退に口を挟めるような権限はない。
ただ、彼女なりに意を決して退職の話を私に相談してきたのだろう。
それならば職場で最も身近に接してきた人間として、まずは私が話を聞くぐらいのことはすべきだと思った。
本来ならば直属の上司にまず相談するのがセオリーだろうが、これくらいの融通はきかせてもいいのではないか。
そこでまず、『なにがあったの?』と聞いてみることにした。
すると、彼女はこう答えた。
『わたし、仕事に付いていけないんです。』
きっと、仕事の相談相手が近くにいないままリモートワークになってしまったのは精神的にかなり辛かったに違いない。
このようなケースは、前回記事にコメントしていただいた読者様の職場でもあったらしい(艶子様、コメントありがとうございました!)。
もしかしたら、コロナ失職ならぬリモートワーク退職というケースは目に見えないだけで、想像以上に多いのかもしれない。
さらに詳しく話を聞いていくと、退職を考えている理由はそれだけではなかった。マネージャーさんから結構なプレッシャーを受けていたということも判明した。
これはリモートワークの弊害の一つだと考える。
どういうことかというと、チャットでメッセージをやりとりしている本人同士以外は、そのコミュニケーションの内容がブラックボックスになってしまうということだ。
同じオフィスにいれば何かあった時にすぐフォローすることができるが、リモートだとそういうわけにもいかないし、そうした事実にすら気付かない。
現に、彼女がマネージャーさんからチクチクとお説教されていたことを私は全く知らなかった。
リモートワークの難しさを突きつけられたような気がした。
そういうことだったのか
話は分かった。
彼女の性格からして先ほどの話にウソはないのだろう。
そして、マネージャーさんの性格からすれば、新人さんが思ったように成長していない状況に苛立ちを覚えて、ついつい強めに注意してしまったのではないか。
ハラスメントとまではいかないまでも、真面目な彼女にとってはそれが辛かったのだろう。この社会情勢からすれば致し方ない面もあると思うのだが…
しかし、ヒラ社員の私には彼女の退職をどうこうする権限はない。
『状況はよく分かりました。週末にもう一度考えてみて、マネージャさんに話してみてください。』と言うことしかできなかった。
今思うと、こうした私の発言はよくなかったかもしれない。
彼女からすれば、せっかく意を決して相談したのに何の解決にも繋がらなかったのだから…
その後、私はすぐにマネージャーさんにこの件を電話で報告した。
もちろん彼女には内緒だ。
マネージャーさんは絶句していた。そりゃそうだろう。
単純な驚きもあるだろうが、苦労して採用した人材がわずか数か月で退職するとなれば、自分の管理能力を問われることにもなる。
まあそれはどうでもよい話だが、マネージャーさんに報告したことで、この件は私の手から離れた。あとは会社の上層部で話し合いが行われるだろう。
リーダーさんなどチーム内への周知は私の仕事ではないが、これが明らかになれば衝撃はかなり大きいはずだ。
この会社はどうなっているのか?
それにしても、この会社は人の出入りが非常に多い。
いや、会社というよりはこの部署というべきか。
以前、こうした話を記事にしたことはあるが、同じことを繰り返してしまったことになる。
人づてに聞いた話によると、この部署に配属された人は皆、短期で退職しているそうだ。
比較的長く勤務した人でも半年だったらしい。
退職の理由は本人の資質や人間関係だったり色々とあったようだが、これが事実だとすれば、会社の採用基準やマネジメントにも少なからず問題があるのではないか?
実は数ヶ月ほど前、違う部署の人と立ち話しをしたときに『あそこでよく頑張ってるね~。俺ならとっくに辞めてるよ。』と言われたことがある。
そのときは冗談だと思って軽く聞き流したが、こうした他部署からの評判はあながち間違っていないのかもしれない。
はたして彼女はこの先どうなるのだろうか。
他人事ながら、彼女のOJTに深く携わった人間として気にせざるを得ない。
(なお、個人や組織の特定を防ぐために一連の記事にはフィクションを交えています)
気晴らしに、こちらもどうですか?
私の転落人生はここから始まりました
リモートワークには個々のやり取りがブラックボックス化してしまう側面があるんですね・・・。
自宅等での仕事の進め方よりもマネージャーさんからの(新人の方からすると)厳しい指導の方が難題な気がします。
middle-manさんが新人さんの相談を聞いて受けとめただけでも全然違うと思います!
新人さんからすると解決に繋がるもう少し踏み込んだ助言を欲していたかもしれませんが。
所属されている部署が非常に入れ替りが激しい部署であることを考えると、果たして引き留めることがその新人さんの今後のためになるかも分かりませんし、難しいですね(・・;)
その新人さんの年齢も経歴もスキルも全く私には分かりませんが、自身の力を発揮できるところで、その新人さんが活躍されることを願うばかりです。