東京か地元か。どちらで再起を期すか。
地元で再起を期すということを両親に伝えた。
これで事態が一歩前進するかに見えた。
しかし、これに反対したのが母だ。
『インターネットの仕事をするのなら、東京にいたほうがいいと思う。』
これまでの話と違う。これで話が振出しに戻ってしまった。
どうやら母の考えはこういうことだった。
『父の後を継ぐのならこのまま実家にいてほしいが、そうでないのなら田舎にいても仕方ない。』
『自分たちに心配をかけまいとして実家に戻るという気持ちは分かるが、そんなことは考えなくてよい。自分の思うようにやってほしい』
こちらとしては願ったりかなったりだが、父と母の間で考えが異なるのは困るし、できることなら、皆が納得のいくかたちで今後のことを決めたい。
結局、そのときはもう一度考え直そうということになったが、正直、私はどうしていいのか分からない。
その日の晩、この日の出来事を電話で妻に話した。
発散する議論
妻も少し驚いているようだった。
私としては、じっくりと話し合いをしてお互い納得のいく結論を出そうとしてきた。今回の帰省はそのためなのだ。
しかし、両親の間でも意見が食い違っている以上、ここは私の考えを押し通し、結果を出すしかないのではないか。
もう40を過ぎたいい大人がいつまでも考えあぐねているのは情けない。
こうと決めて、ブレない気持ちを持ち続けることが一番大事なのではないか。
そうであるならば、まずは今後の事業の内容をしっかりと決めることが先なのかもしれない。
今、両親との話し合いのブレてしまっている。
最初は今後の事業がうまく行くかどうかの話し合いをしていたが、それがいつしか、どこに拠点を置くかの話し合いになってしまった、
もう一度、論点を整理して冷静に考えたい。
たしかに、事業コンセプトや月々に必要となる収入をはじき出してはみた。
しかし、それを実現する手段という点がまだまだ不明確だ。ここが肝心な点だ。
両親はこの点が最も心配なのだ。ここさえ明確になれば、話し合いは解決するはずだ。
これをクリアすれば快くエールを送ってくれるはずだ。
私も考えが浅かったことを反省している。
悩み深き底辺40代中年無職
両親はインターネットへの理解が著しく欠如している。それは仕方のないことだ。
それを分かりやすく補足してあげなければいけない。
従来の実店舗による商売では、様々な知識が必要になってくるだろう。
しかし、インターネットの出現により、商売の方法が多様化し、参入障壁が低くなった。
私はこのメリットを最大限利用して商売しようとしている。ここに的を絞って説明する必要がある。
どこで仕事をするかはその次だ。
ネットでは、ニートがインターネットで商売して成功を収めたというブログを見かける。
本当にそんなにうまくいくものなのか。はなはだ怪しい。
きっと私を見る両親も同じ気持ちなのだろう。
話は変わるが、今日は墓参りをしてきた。祖父と祖母の墓だ。もうしばらく行っていなかった。
墓地は実家からさらに離れた田舎にある。
墓石ところどころに汚れが目立ったので、たわしを使って汚れをきれいに落としてきた。
これまで私がしてきた親不孝への罪滅ぼしをしているような気分になった。
祖父は私が生まれる前に他界したため、実際に会ったことはないが、商売上手で随分と優しい人だったらしい。
こうしてお墓を洗いながら、これからの人生がうまくいくよう力を貸してほしいとお願いした。
商売上手な祖父の血が私にも流れているはずだ。それにあやかりたい。
天国にいる祖父と祖母は、今の私を見てどう思っているだろうか。
◆真・転職回顧録-帰省編 11/17へ続く
次回:無職が昼間のファミレスで感じる不安と焦り。