40代底辺無職は今日も汚部屋に通う。
ゴミ撤去が終わったので、汚部屋の中はもうキレイだ。
とはいっても、専門業者に売れそうなものはそのまま残しているし、細かな汚れは私がきれい掃除している。
その他にも、部屋に風を通すという目的もあり、週に何日かはこの部屋に通っている。
また、ゴミ回収業者では処分できない特殊なものが何点かある。そういったものは私が自宅に持ち帰り、別途必要な手続きを踏んで処分している。
先日もそのために部屋に行ってきた。
その帰り道、自分自身でも驚くべきことが起きてしまった。
無職の身なり
話は変わるが、無職だろうが何だろうがヒゲは生える。
会社員だったころは当たり前のようにヒゲはきちんと剃っていた。伸ばしたとしても、清潔感あるよう、ちゃんと整えていたつもりだ。
しかし、無職になると人に接する機会が極端に少なくなる。どうせ誰にも会わないと思うと、最近では、3日に1回くらいしかヒゲを剃らなくなった。
そんなこともあり、私は無精ひげでいることが多くなっていた。
さて、その日も私は部屋に行って掃除と荷物の整理をしてきた。
もちろん無精ひげも生えていたし、Tシャツ、スウェット地の長ズボン、スニーカーという出で立ち。
どうせ誰にも会わないので、そんな服装で十分だ思っていた。
部屋に到着して一通りの作業を終えると、自分で処理しなければいけないゴミが何点か出てきた。
そこで、持参した大きめのナイロンのトートバッグにそれを入れて持ち帰ることにした。
また、その日は猛暑だったので、首に汗拭き用のタオルを巻いている。
諸々の作業を終えると夕方になったので、そろそろ帰宅しようと思い、部屋を出て帰りの電車に乗った。
乗客は比較的少なかったので荷物を抱えて座席に座ったのだが、ここで不思議なことが起こった。
やがて車内が混み始めたので、私の隣以外は全て埋まってしまったのだが、唯一空いている私の隣には誰も座ろうとしないのだ。
親子連れの乗客は、私から距離を置こうしているようにもみえる。なぜこうも避けられているのか不思議に思いながらも、その理由が全く分からなかった。
私が特に汗臭かったわけでもない。
腑に落ちないまま座っていると、乗り換えの駅についたので、いったん電車を降りて駅構内を歩いていた時、私が避けられていた理由が判明する。
40代無職底辺男の悲しい身なり
降りた駅は規模の大きなターミナル駅なので、構内には喫茶店が入っている。
その喫茶店の前を通った時、ショーウィンドウに映る自分の姿がふと目に入った。
そこに映っていたのは、リュックを背負い、手には荷物がたくさん入ったビニールバッグを持ち、首に汗拭き用のタオルを巻いた、無精ひげを生やしている男だ。
おまけにズボンのチャックは全開だった…(←これは私の不注意)
ホームレス同然の自分の姿がそこにあった。
おまけにチャック全開とくれば、まさに不審者の極み。
自分でも衝撃的だった。これなら人から避けられても仕方ない…
一歩間違えれば通報されていた可能性もある。
帰宅後はすぐにシャワーを浴び、3日ぶりにヒゲをキレイに剃った。
見た目にも気分的にもずいぶんとサッパリした。若干、若返ったようにもみえる。
サッパリしただけでなく、これまでの鬱屈とした気持ちが少し軽くなった気さえする。
帰宅した妻にこの出来事を話したら大爆笑された…それにしても外見を整えると、気持ちまでも上向きになる。
せめて外に出るときくらいはキチンとした服装にしよう。
そうしなければ、無職中年の私はまた不審者に間違われてしまう。
この日のことはいい教訓になった。
せめて身なりだけでもきちんとしなければ…
無職になり、こんな当たり前のことまで疎かになるとは、自分が情けなかった。
◆真・転職回顧録-ゴミ部屋編 12/12へ続く
次回:汚部屋と無職と妻と洋服と