少しづつ環境に適応してきた中年
うちの会社でもリモートワークが開始されて数日が経過した。
当初は会社のサーバーに接続できないなどのトラブルがあり、少しの戸惑いはあったものの、そうしたこともようやく落ち着いてきた。
さらに、長時間の通勤が不要になったことや、起床時間を1時間ほど遅らせることができたこと、仕事中でもテレビやラジオをつけていてもOKとくれば、こんなに働きやすい環境はないかもしれない。
きっと今のようなワーキングスタイルはこれからの主流になっていくのだろう。むしろ、今変わらなければ、今後一生変わることはないのかもしれない。
ドキドキのスカイプミーティング
そんななか、横浜のお客さんと打ち合わせをすることとなった。
とはいえ世間では今、外出自粛が叫ばれている。そういったことを考慮してスカイプでのリモートミーティングを実施することになった。
私は自宅から参加ということになったが、服装は一応、ジャケットを着ることにした。
その一方、お客さんの会社はこんな状況下でも今までどおり社員が出社しているらしいので、むこうはオフィスから参加するそうだ。
ちなみに、私には過去、こうしたリモートミーティングの経験がある。新卒のSE時代、遠方のお客さんと音声のみでやり取りした。
しかし、それはもう数十年も前の話。果たして今回はうまくいくのだろうか?
やがてリモートミーティング当日を迎えた。
まず事前に自分の映像をチェック。
部屋に変なものがあるわけではないが、妙なものが映り込んでいたら猛烈に恥ずかしい…
そして打ち合わせの開始時間になった。
最初に双方の音声と映像に問題がないことを確認。その後、特に問題もなく、打ち合わせは1時間半程度で終了した。
実際にリモートミーティングをやってみた感想としては、話を切り出すタイミングや書類の確認などに若干の違和感や手間がある。
しかし、移動に関する時間とお金を大幅に節約できるのだから、さきほどの違和感を補って余りあるメリットを感じた。
これを利用しない手はないだろう。むしろどんどん活用していくべきだ。
リモートワークもそうだが、Skype、Zoom、Teamsなどのソフトウェアを使った打ち合わせはこれからどんどん増えていくのだろう。
そうなると紙の名刺の代わりとなるアプリケーションが出てくるだろうし、今当たり前のように紙に印刷しているものやハンコなんかも少なくなっていく気がする。
もう10年したら、ほとんどが電子化された世界になっているかもしれない。だから私もそれに順応していかなければいけない。
迷惑な会社
この二日後、先ほどの会社から連絡が入った。
その内容はというと、『後日、顔を合わせて再度打ち合わせをしたい』というもの。
こちらとしては不足していた点はないという認識にもかかわらず、この前のリモートミーティングでは不十分だったので、もう一度会社に来て説明してほしいということらしい。
それだけに、私のマネージャーさんも交渉はしてくれたようだが、先方のたっての希望ということで結局、私と先輩の二人が急遽、先方に向かうことになった。
その会社は横浜から市営地下鉄に乗って数駅のところにある。近くもないし遠くもないという微妙な距離だ。
当日は最寄り駅で先輩と待ち合わせして相手先に到着した。
会議室に案内される途中で社内をチラリと見渡すと、このご時世なのに従業員はいつも通り出勤している様子。
マスクを付けている人はさすがに多かったが、出社する必要のない職種であっても、リモートワークに対応できない会社は案外多いことを実感した。
我々二人は会議室に通されると、そこに待っていたのはリモート打ち合わせを行ったメンバー以外に、もう一人いた。
交換した名刺を見ると、この人は会社の役員だった。年齢は60手前くらい。
そこで私は悟った。
おそらく、この人の鶴の一声でこの打ち合わせが再度設定されたのだ。
『実際に顔を突き合わせて話をしなければ深い話し合いはできない』という考えなのだろう。
そう考えると、この会社がまだリモートワークに移行していないことに合点がいく。
もしこの推測が誤っていたとしても、こちらにしてみれば迷惑このうえない。
前回のリモートミーティングで話はまとまったのになぜ、ウイルス感染の可能性があるなか、相手方の社員に足を運ばせようとするのか。
そんな不満を抱えながら書類やシステムなどを確認しているとき、この役員さんをチラリと見ると、なにやら満足げな表情をしている。
まるで『最近の若い者にコミュニケーションの重要性を説いた』とでも言いたそうだ。
今は有事なのに、いつもと同じようなサービス提供を求めないでほしい。正直言うと、こんな自己中心的な会社とは縁を切りたい。
結局、この会議でも前回打ち合わせとほぼ変わらない結論に至り、夕方頃に散会。全く意味がなかったとは言わないが、ほぼ無意味な打ち合わせだった。
どうやら先輩も私と同意見だったようで、互いに同じ不満を口にしながら帰路についた。
帰りは外食で嗅覚チェック
先輩と別れた私はお腹が減ったので松屋に寄った。
いつもは普通の牛丼にすることが多いが、この日はハンバーグ定食を注文。
コロナウイルスに感染すると嗅覚や味覚が著しく低下するらしい。
そこで、比較的香りの強いものを注文して、自分の嗅覚が正常であるかをチェックしたかった。
打ち合わせによる濃厚接触からわずか数時間でその症状は出ないだろうが、用心に越したことはない。
数分でハンバーグ定食が運ばれてきた。
デミグラスソースの美味しそうな匂いに包まれたことで自分の身に何事も起こっていないことに確認した私は、安心して久々のハンバーグをたいらげた。
そして、もうこんな打ち合わせはこりごりだと思いながら帰宅するのだった。
気晴らしに、こちらもどうですか?
私の転落人生はここから始まりました
最低な取引先ですね。
リモートワークができない職種はもちろん存在しますけど、オフィスワークならリモートワークに移行すべき状況ですよね。
なぜか、なんてバカでも分かることですし、そんなことも分からず社員や協力会社社員を危険にさらすとか考えられないことですよ。