無職のくせに新幹線で帰省
駅から家までの間、昔通っていた小学校の前を通る。この辺りの風景は随分変わった。
昔は鉄工所や駄菓子屋があったのだが、そういったところは軒並みつぶれてアパートやマンションになっていた。
何十年も経てばこうした風景も変わっていくのだろうか。少し寂しい。昔好きだった女の子の家の前を通ってみたが、そこにはもう誰も住んでいないようだった。
そんな感傷に浸りながら歩くこと20分、約1年半ぶりに実家に到着した。
久しぶりに会う両親はさほど変わっていなくて安心した。
ところで今回の帰省の目的は、今後の身の振り方の相談と報告だが、PCが苦手な両親ために、諸々の設定や調整なども助けてあげようと思っている。
何もできない40代中年無職が今できる唯一の親孝行だ。
家に着いた時は17時を少し回っていた。母は台所で夕飯の準備を始めた。私もさっそく手伝う。担当は味噌汁作りだ。
味噌汁をふるまう
なぜ私が味噌汁当番になったかというと、母の味噌汁は壊滅的にマズいからだ。
一言でというと味付けが甘いのだ。
幼いころはその味が当たり前だと思っていたものの、あまりおいしいとは思わなかった。
そんな私が大学進学や就職を機に家を出て、よその味噌汁の味を知ってからは、母の味噌汁の作り方は何かが根本的に間違っていると思うようになった。
そこで作り方と味を検証するため、ネットで調べたレシピのとおりに作ってみるとこれがウマかった。
ちゃんと塩っ気があり、味噌の風味を感じる。
そこで、私が味噌汁と担当することになった。そんなこんなで久しぶりの家族水入らずの食事タイムを過ごした。
父はまだ自営業として現役を続けている。
この日はまだ帰省初日ということで、当たり障りのない世間話をして一日が終わった。
深い話はまだしていない。
しかし、明日からはそうはいかないだろう。
今後の身の振り方について、そして、私と妻のこれからについて話し合いを行うことになるだろう。
ところで、私の父は自営業を営んでおり、今もまだ現役だ。
しかし、年齢による体力の衰えを考慮し、そろそろ引退を考えているようだ。だからこそ、余計に私のことが心配なのだ。
いつもは私と両親のバトルが繰り広げられるところだが、今回は喧嘩をしないと心に決めている。
感情的にならず、落ち着いて冷静に話し合いたいと思っている。
私は普段、感情的になることは努めて避けているのだが、やはり家族となると話は別だ。
いや、家族だからこそ感情的になれるのかもしれない。
私もいい大人なのだから、人生の再スタートの報告くらいは落ち着いて話し合いたいと思っている。
そんななか、私は父の意外な趣味を知ることになった。
真・転職回顧録-帰省編 2/16へ続く
次回:父親の意外な趣味。それを運営するのは私。