財布には金が入っていない
無職の財布に1万円札が入っていることは滅多にない。
収入がないのだから当然だ。なるべくお金を使わないように、節約しながら生活している。
例えば、スーパーではなるべく見切り品を買うようにしているし、洗剤などはプライベートブランド。外食などもってのほか。
そんな慎ましやかな生活でも、なんらかの細々とした買い物が必要となってくる。
ある日、トイレットペーパーと歯磨き粉が切れてしまった。
金額にすれば数百円程度の出費だが、恥ずかしながら、その程度の金額すら財布に入っていなかった。
40代無職、貯金の切り崩し
40代の財布の中身とは到底思えない。最近の小学生ですらもっとお金を持っているはずだ。
手持ちの現金がなかったため、仕方なく数千円をATMから引き出してきた。
その際、画面には表示される残高を見るたびに緊張する。
はたしてその金額が、月々の支払いに耐えうるものかどうか気になるからだ。
会社員時代は特に気にすることもなかったが、無職にはよくある風景だ。
そのときも胃が痛くなるような思いで残高を確認してみると、今月と来月はまだ大丈夫のようだった。
しかしそこから先は怪しい…再来月をどうやって乗り切るか…
独身時代からコツコツと貯めてきたのに、無職となって貯金の切り崩しが始まる日もうそこまで迫ってきている。
本当に恐い。
40代、無職、貯金なし。この恐怖は、本人にしかわからない。
貯金の切り崩しが怖くて同窓会に行けない
お金の不安に常にさいなまれている無職の私だが、そんな私にも人との付き合いはある。
そのなかで最も困るものの一つは同窓会だ。
なぜかというと、私の場合、同窓会が大阪などの遠方で開催されることが多く、同窓会に参加するための交通費や宿泊代が惜しいのだ。
この前も学生時代に所属していた研究室の同窓会があった。
しかし、遠地で開催されるため、私はやむなく適当な理由を付けて欠席することにした。
往復の交通費、宿泊費、飲食費、参加費だけで軽く6万円以上は飛んでいく。
それだけあれば、税金を払ったり、迷惑をかけている妻にプレゼントを買ったり、色々なことができそうだ。
そう考えると、やはり同窓会には参加できない。
なんとも情けない話だ。
今はまだ爪に火を点すほど生活が困窮しているわけではないが、近い将来、本当に極貧生活に転げ落ちてもおかしくはない。
40代無職が貯金なしの生活に陥ってしまうことはなんとしても避けたい。
まともな40代の社会人ではおよそありえない話だ。
無職とボロボロな下着の関係
話は変わるが、私はもうずっと同じ下買いを着続けている。何度も洗濯してきたので、生地はかなり傷んでいるような状態だ。
それだけでなく、私には決まった箇所に親指をかけて服を脱ぐクセがあるので、その部分の生地は特に薄くなっている。
しかし私は、新しいものに買い替える気になれない。なぜかというと無職だから。
こんなものを新調したところで値段はたかだか数百円くらいのものだが、どうにも気分が乗らない。
もちろん、妻の下着に穴が開けばすぐに買うようにお金を渡している。
妻に下着を買うなとはとても言えない。
しかし私はダメだ。まだこの肌着を着続ける。
一見すると、無職であることと穴の開いた肌着を着続けることには何の関係もないように思える。
しかし、ここは臥薪嘗胆。この穴の開きそうな下着を着続けることで自分を奮起させたいのだ。
割り切ってさっさと新しいものを買ってしまえばよいのだが、考え方を切り替えられないところが私の弱点なのかもしれない。
こんなときは種田山頭火の俳句が身に染みる。
山頭火といってもラーメン屋の話ではない。もしかしたら、このラーメン屋の屋号は、種田山頭火が由来なのかもしれないが。
種田山頭火は大正から昭和にかけての漂泊の俳人だ。大変な才能の持ち主だったが、酒好きが災いし、驚くほどの貧乏生活を送っていたそうだ。
山を漂泊して廃屋に勝手に住みついたり、いろんな人からお金を借金をしたり。
破天荒というか、とにかく変り者だったらしく、その俳句も独特だ。
その作風は五七五調などのセオリーを全く無視するもので、自分の言いたいことを素直に表すことに特徴があり、生活に困窮していく自らの姿を表現する作品が多い。
その一つにこんなものがある。
笠も漏り出したか
たったこれだけだ。五七五のような韻を踏んでいもいないし、Twitterでのつぶやきのような一句。
これを俳句と呼んでいいのか分からないが、今見てもかなり斬新だ。
しかし、今ならなんとなく、これを詠んだときの山頭火の気持ちがわかる。
そこで私もここで一句。
「職もなくなったか」
さらに一句。
「金もなくなったか」
そんな私の転職失敗談はこのリンクからどうぞ☟☟
おはようございます。じゅんです。
肌着の件、わたしも同じ思いがあるので、記事を見てびっくりしました。
新しいものを身につけたら気分も前向きになるのではないか、と思ったり、いや、勿体無い、と思ったりです。
口座残高についても不安がいっぱいです。
毎月の固定費は必ず支払わなきゃならないので、来月あたりから貯金を切り崩す生活になりそうです。
記事を読ませていただき、そう簡単に仕事が見つからないのだと現実を知りました。おかげで何社も書類選考で落ちる覚悟ができました。それでも、仕事を探すしかないです。頑張ってみます。