新人営業マンのやっかいな緊張癖【転職回顧録-営業マン編15/19】

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ここまでのおさらいと今回のお話

私(もうじき無職)、マツダくん、オタクさんの三人でのOJTが始まった。

あまり厳しくはしたくなかったが、時間的な制約もあって外回りの予定をかなり詰め込んでいたので、みんなに少しづつ疲れが見え始めた。

しかし、本当の厳しさは郊外の客先回りが始まってからだ。ここはなんとか乗り越えてほしいところ。

きっと彼らならできるはず。

それぞれが少しづつ経験値を積みながら、彼らは一体どんな成長を見せてくれるのか?

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そして地獄の郊外客先回りへ

マツダくんもオタクさんは少々お疲れの様子。

初めてのことだらけで精神的な緊張が続いたせいだろう。
だが、ここは頑張ってもらうしかない。

三日間が終わったのは金曜日だった。

月曜からはいよいよ、地獄の郊外巡りが始まるので、土日はゆっくり休むように告げてその日は終わった。

なぜ地獄かというと、郊外の外回りは移動距離が多い割に実りが少ない。

そして私自身、この郊外の外回りがきっかけとなり仕事へのモチベーションが下がり始めた(回顧録-33回顧録-36を参照)。

事前にこのことを二人に話すべきか迷ったが、先入観を持ってほしくなかったので、あえて黙っておくことにした。

ただ、郊外を回るにあたって相当な距離を歩くことを事前に伝えておいた。

そして週が明けて月曜日。
オタクさんは長距離移動にに備えて歩きやすそうなパンプスでやってきた。

やる気は十分のようだ。
何事にも楽しんで取り組む彼女にとって、郊外の外回りはちょっとした遠足気分かもしれない。

そして、車内での朝礼が終わり、我々はさっそく外回りに出発した。

電車に乗ること40分。そこからバスに揺られて30分。その後20分歩いた。

たった1件の訪問のために合計で約1時間半の移動だ。非効率なこの上ない。

それにしても、この辺りまでくると、都内とは思えないほど田んぼや畑が多い。

彼女の意外な才能

この日一件目は、いつものとおり序盤はマツダくんに任せて、途中から私にバトンタッチするという流れにした。

そしてこれまたいつものとおり、マツダくんが緊張気味に話をするせいで、全体的に堅い雰囲気になってしまったが、時折見せるオタクさんの笑顔のおかげで、場の雰囲気が少し和む。

営業という仕事は男性ばかりで行うよりも、女性もいた方がいいのかもしれない。場が和んで話をしやすくなるからだ。

だが、肝心の営業結果はというと、残念ながら新規サービスの申し込みには至らなかった。
私の力不足によるものだ。

意気消沈して二件目の訪問先に向かった。

今度は、インターホンで担当者を呼び出す役割をオタクさんにやってもらうことにした。
私からのいきなりの指名に驚いていたが、快く引き受けてくれた。

念のためその場で5回ほど練習を行い、いざ本番。

ここで我々はオタクさんの知られざる能力を知ることになる。

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営業は彼女の天職かもしれない

初めてとは思えないほどスムーズに相手先担当者と話をしていた。これにはマツダくんも驚いていた。

学生時代に接客業のアルバイトをしていたらしいので、その賜物だろう。

しかし、残念ながら担当者不在であえなく撃沈。
まあここは飛び込みで行ったので仕方ない。

続いてその近くにある三件目。
担当者の呼び出し役は先ほどと同じくオタクさん。

マツダくんにはこれまでの担当分に加えて、私の仕事の約半分を担当してもらうことにした。
つまり、私に代わって彼がサービスの説明や提案をお客さんに行うことになるのだ。

呼び出し:オタク
サービス説明:マツダ
締め:私

この役割分担を確立すれば、私の作業も随分と楽になるし、彼らにとっても大きな経験となるだろう。

そしていざ本番。
まず、オタクさんによる担当者呼び出しは問題なく終わった。
次はいよいよマツダくんの番だ。

名刺交換を済ませて席に座る。

彼の緊張は誰の目から見ても明らかだった。

気持はよくわかるが、これは誰もが乗り越えなければならない壁なのだ。
もし何かあったときはフォローをしなければならないので私も緊張する。

半ば祈るような気持ちで彼の隣に座って話を聞いていた。

案の定、噛みまくりで今一つ要領を得ない。
仕方ないので、頃合いを見計らって助け舟を出した。

これでは契約を取ることはできないだろうが仕方ない。
入社したての頃はそんなものだ。人材育成のための授業料だ。

三件目の訪問終了後、マツダくんはずいぶんとへこんでいた。

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私とオタクさんとで慰めながら四件目の訪問先へと向かうのだった。

◆ 転職回顧録営業マン編16/19へ続く
外の客先回りで数をこなした結果、ついにマツダくん覚醒か!?
新人営業マン、覚醒の兆しを見せ始める。【転職回顧録-営業マン編16/19】
個人経営の小さな喫茶店を近くに偶然見つけたので、そこで昼食をとることにした。この場合は私がご馳走することになる。
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