新人営業マンの成長【転職回顧録-営業マン編16/19】

三件目の訪問を終えた我々は、少し休憩することにした。

ひとしきり世間話をした後、次の客先を回ることにした。

そして、これまで緊張癖がとれなかったマツダくんに変化が現れ始めた。

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これはもしかして覚醒の兆しか?

お昼ご飯での会話

幸い、個人経営の小さな喫茶店を近くに偶然見つけたので、そこで昼食をとることにした。

もちろんこの場合は私がご馳走することになる。

テーブルの下で財布の中のお金を確認しつつ、コーヒーを飲みながら今日を振り返った。

こういう時私は、話全体の七割を褒めることに割き、残りの三割をアドバイスに充てている。

こうすることで相手のモチベーションが上がるだけでなく、その分、アドバイスの内容が頭に残りやすいと考えているからだ。

ただ厄介なのは、こうした話をしていれば当然、私の退職理由にも話が及ぶことだ。

私は少し迷ったものの、ありのままを話すことにした。

二人は神妙な面持ちで話に耳を傾けており、この会社の厳しさを知ったようだ。

しかしこの二人に限っては、すぐに私のようなことにはならないはずだ。
なぜかというと、二人はまだ新卒として入社したばかりの新人だからだ。

人の出入りがいかに激しい会社でも、こうした新人に対して成果をすぐには求めるようなことはしないだろう。

私の場合は年齢相応の結果が求められていただけに、今回のような結末になったのだ。

マツダ、遂に覚醒か?

そして色々な話をして一息ついたところで、残りの訪問先を一気に片づけることにした。

これまでの訪問先は私が事前にアポ取りをしていたのだが、ここから先は二件目のように飛び込みで行くことになっていた。

というのは、簡単には訪問できない遠い場所にあるお客さんだったため、日程調整していては引継ぎの期限に間に合わない可能性があるからだ。

こうした飛び込みはできるだけ避けたいところだが、メリットもある。
それは訪問件数を稼ぎたい時に有効だということだ。

飛び込みの場合は、入り口付近での軽い立ち話で終わる事が多く、短い時間で訪問を終えることができる。

たとえ成果があろうがなかろうが、私はこれで1件の訪問実績として計上している。

契約をとるという本来の目的とは全く異なるが、この日のように数をこなさなければならない場合には、うってつけの手段だ。

二人にとっても、こうした場合の対応方法はいい経験になるだろう。

飛び込みを何件か続けていると、マツダくんも次第に慣れてきたようだった

なんと、緊張のあまり書類を持つ手が震えていた彼が、お客さんとの会話の中で軽いジョークを飛ばせるようになってきた。

もちろんそれは喜ばしいことなのだが、彼はお調子者なだけに、あまりやりすぎないよう釘はしっかりとさしておいた。

ところでこの会社では通常、外回りは一人で行う。
しかし、私は二人で行ったほうがよいのではと考えていた。

もし私が二人で外回りをしていれば、精神的につらいときなど励まし合いながら仕事ができたかもしれない。

そして、お互いがそれぞれの欠点を補完しあえば、よりよい成果を生み出せる可能性が高いと思う。

だからこそ私は、ほぼ同年齢で馬が合うマツダくんとオタクさんがタッグを組めば、それなりに成果を上げそうな気がしていた。

やがてその日の訪問予定を全て回ると、時計の針はもう17時半をまわっていた。
今日だけで8件は回った

辺りはもう真っ暗だ。

これから帰社して、日報を提出しなければいけないと思うと疲れが2倍に増えた気がした。

そして成果は相変わらずボウズだ。
どうせまた指摘を受けるだろう。

でももういいのだ。私はダメサラリーマンなのでしょうがない。

もうすぐ退職する私はそれほど気に病むことはなくなっていた。

しかし、二人のためにも、もう一件は契約をとりたい。

私の意識はもはや完全に、二人の教育という方向に向いていた。

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◆ 転職回顧録-営業マン編17/19へ続く↓↓

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パンフを見たお客さんはぜひ契約したいと言ってくれたので、その場で申込書にサインと押印をもらうことができた。

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