【無職中年男は再就職できるのか? 転職回顧録-56】派遣切りにあった無職中年男は塾講師として頑張った

◆人気記事◆

派遣切りとなった工場でのアルバイト(回顧録-54を参照)が最終日を迎えた

幸いにも同じ工場内での新しい仕事を紹介してもらったため、仕事にあぶれることはなかったが、今働いている人達と離れるのは少し寂しかった。

その日の昼休み、私と同様に派遣切りにあい、ここでの仕事が前倒しで終わる人たちの間でおやつの配り合いが始まっていた。

もちろん、私もその輪の中に加わった。

次の仕事場もこの人たちと同じになればいいのになと何度も思った。

スポンサーリンク

そして、その日の仕事が終わり、お世話になりましたと簡単に挨拶を済ませてから工場を後にした。

そこからいつものように塾へ移動して、講師としての仕事が始まる。
工場で黙々と作業するのも好きだが、こうして子供たちに勉強を教える仕事も好きだ。

どちらも自分のペースで作業を進めることができるからだ。

その日は数学と英語を教えた。

授業を終えて講師控室で一息ついていると、高校生クラスの生徒が数学の質問にやって来た。

学校の先生から大量に宿題を課されたものの全く解けず、途方に暮れているので助けてほしいを訴えてきた。

先生としても成績が一向に上がらない彼のことを憂慮して宿題を出しているようだ。

ちなみに、この生徒は有名な進学校に通ってはいるものの、成績はあまり良くない。

どうやら進学校に合格したことで満足しているうちに勉強をサボりがちになり、気が付くと授業についていけず、成績が下がったまま這い上がれなくなってしまったらしい。

そのため、難関校に合格するためではなく、まずは学校の授業に付いていけるようにするため、補修目的でこの塾に通っているそうだ。

試しに、彼が悩んでいる宿題の内容がどんなものか、見てみることにした。

薄めのノート一冊分ほどの基本的な公式や定理を使った問題集だ。
ただ、解答はない。

コツコツやっていけば1週間ほどで終わりそうだが、もはや数学アレルギーになったこの生徒にはとてつもなく大きな壁に見えるのだろう。

スポンサーリンク

正直なところ、彼にこれだけの分量をこなすのは酷かもしれない。

そもそも私の担当学年は主に中学生だが、こうした高校生の質問も受け付けているので、見捨てるわけにはいかない。

横で話を聞いていた塾長からも、なんとかしてあげてくれと懇願された。

そこで、私が模範解答を作ってあげることにした。

正直なところ、これは勤務時間外の仕事なので、その分の手当てが欲しいところだ。

塾長に懇願したいのはむしろ私のほうだ。

そのため、宿題をコピーして持ち帰り、帰宅後、その問題を解く日が3日続いた。

眠い目をこすりながら、なんとか頑張って彼のために解答を作成した。高校数学の問題を解くのは何年ぶりだっただろう。

ネットなどで調べているうちにだんだん解き方を思い出してきた。それにしても便利な時代になったものだ。

後日、その完成した解答を基にして、その生徒への個別指導を毎日のように行った。

スポンサーリンク

そんなある日、生徒の親から1ケースのビールが差し入れとして届けられた。

どうやら私へのお礼ということらしい。

個人への贈り物の場合は丁重にお断りしていたのだが、塾への差し入れということなら問題ない。

まさか差し入れがあるとは思っていなかったが、ありがたく頂戴して講師全員に配った。

こうしたことも講師の役得かもしれない。

この生徒のために一番貢献したのは私のはずだが、最もビールを飲んでいたのは塾長だった。(回顧録-57へ続く)

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする