派遣切りにあった無職男、塾講師として奮起【転職回顧録-フリーター編11/36】

工場での最終日を迎えた。

普段とおりに仕事を終え、その日も塾へ向かった。

授業を終え一息ついていた私のもとに、質問にやってきた男子高校生。

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はたして彼の質問内容とは?

工場での最終日

派遣切りとなった工場でのアルバイト(工場での派遣切り。不安だらけの生活。【転職回顧録-フリーター編9/36】参照)が最終日を迎えた

幸いにも同じ工場内での新しい仕事を紹介してもらったため、仕事にあぶれることはなかったが、今働いている人達と離れるのは少し寂しかった。

その日の昼休み、私と同様に派遣切りにあい、ここでの仕事が前倒しで終わる人たちの間でおやつの配り合いが始まっていた。

もちろん、私もその輪の中に加わった。

次の仕事場もこの人たちと同じになればいいのになと何度も思った。

その日の仕事が終わり、お世話になりましたと簡単に挨拶を済ませてから工場を後にした。

そこからいつものように塾へ移動して、夕方からは講師としての仕事が始まる。
工場で黙々と作業するのも好きだが、こうして子供たちに勉強を教える仕事も好きだ。

どちらも自分のペースで作業を進めることができるからだ。

その日は数学と英語の授業を担当した。

数学の質問にやって来た高校生

授業を終えて控室で休んでいると、ある高校生が質問にやってきた。

学校の先生から大量に宿題を課されたものの全く解けず、途方に暮れているとのことだった。

先生としても成績が一向に上がらない彼のことを憂慮して宿題を出しているようだ。

ちなみに、この生徒は有名な進学校に通ってはいるものの、成績はあまり良くない。

どうやら勉強がおろそかになりって、気が付くと授業についていけず、成績が下がったまま這い上がれなくなってしまったらしい。

そのため、難関大学に合格するためではなく、まずは学校の授業に付いてくために補修目的でこの塾に通っているそうだ。

試しに、彼が悩んでいる宿題の内容がどんなものか、見てみることにした。

基本的な公式や定理を使った、薄めのノート一冊分ほどの問題集だが、解答はない。

これくらいの内容であれば1週間ほどで終わりそうだが、もはや数学アレルギーになったこの生徒にはとてつもなく大きな壁なのだろう。

正直なところ、彼にこれだけの分量をこなすのは酷かもしれない。

そもそも私の担当学年は主に中学生だが、こうして質問に来てくれた以上、見捨てるわけにはいかない。

横で話を聞いていた塾長からも、なんとかしてあげてくれと懇願された。

そこで、私が模範解答を作ってあげることにした。

正直なところ、これは勤務時間外の仕事なので、その分の手当てが欲しいところだ。

仕方なく、宿題をコピーして持ち帰り、帰宅後、その問題を解く日が3日ほど続いた。

高校数学の問題を解くのは何年ぶりだっただろう。

眠い目をこすりながら、なんとか頑張って彼のために解答を作成した。

ネットなどで調べているうちにだんだん解き方を思い出してきた。それにしても便利な時代になったものだ。

後日、その完成した解答を基にして、その生徒への個別指導を毎日のように行った。

そんなある日、生徒の親から1ケースのビールが差し入れとして届けられた。

どうやら私へのお礼ということらしい。

個人への贈り物の場合は丁重にお断りしていたのだが、塾への差し入れということなら問題ない。

まさか差し入れがあるとは思っていなかったが、ありがたく頂戴して講師全員に配った。

こうしたことも講師の役得かもしれない。

この生徒のために一番貢献したのは私のはずだが、最もビールを飲んでいたのは塾長だった。

まったく、とんでもない人だ。

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転職回顧録-57へ続く↓↓

新しい工場での仕事が始まった。無職男はそれと並行して塾の冬季合宿の教材を作成することになった。

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