Cafe de 無職

~40代、50代の無職が集う場所~

転職回顧録-43

calendar

reload

スポンサーリンク

その日三件目の訪問を終えた我々は(転職回顧録-42を参照)、少し休憩を入れることにした。
幸い、個人経営の小さな喫茶店をこの近くに偶然見つけたので、そこに入ることにした。もちろんこの場合は私がご馳走することになる。
テーブルの下で財布の残金を確認しつつ、コーヒーを飲みながら今日を振り返った。
こういう時、私は、話全体の七割を褒めることに割き、残りの三割をアドバイスに充てている。
こうすることで相手のモチベーションが上がるだけでなく、その分、アドバイスの内容が頭に残りやすいと考えているからだ。

ただ厄介なのは、こうした話をしていれば当然、私の退職理由にも話が及ぶことだ。
私は少し迷ったものの、ありのままを話すことにした。

二人は神妙な面持ちで話に耳を傾けており、この会社の厳しさを初めて知ったようだった。
しかしこの二人に限っては、すぐに私のようなことにはならないはずだ。
なぜかというと、二人はまだ新卒として入社したばかりの新人だからだ。
人の出入りがいかに激しい会社でも、こうした新人に対して成果をすぐには求めることはしないだろう。
私の場合は年齢相応の結果が求められていただけに、今回のような結末になったのだ。

そして色々な話をしてみんな一息ついたところで、残りの訪問先を一気に片づけることにした。これまでの訪問先は私が事前にアポ取りをしていたのだが、ここから先は飛び込みで行くことになっていた。
というのは、気軽にはいけない遠い場所にある顧客だったため、日程調整していては引継ぎの期限に間に合わない恐れがあるからだ。

訪問件数を稼ぎたい時にはこうした飛び込みにはメリットがある。
それは訪問件数が稼げることだ。飛び込みの場合、入り口付近での軽い立ち話に終わるためり、短い時間で訪問を終えることができるのだ。
仕事本来の目的とは全く異なるが、この日のように数をこなさなければならない場合には、うってつけの手段だ。
二人にとっても、こうした場合の対応方法もいい経験になるだろう。

そこで、後任の紹介は私が担当し、残りのほとんど全てをYさんとZ君(転職回顧録-42を参照)に任せることにした。

こうした飛び込みを何件か続けていると、今まで噛み噛みだったZ君も次第に慣れてきたらしく、軽いジョークなども飛ばせるようになってきた。
それはそれでいいのだが、あまり調子に乗りすぎないように釘はさしておいた。

ところでこの会社では通常、外回りは一人で行うのだが、私は二人で行ったほうがよいのではと考えていた。
もし私が二人で外回りをしていれば、つらいときなどは励まし合いながら仕事ができたかもしれない。そして、お互いがそれぞれの欠点を補完しあえばそれが安心感につながり、よりよい成果を生み出せる可能性が高いと思う。
だからこそ、ほぼ同年齢で馬が合うYさんとZ君がタッグを組めば、それなりに成果を上げそうな気がしていた。

やがてその日の訪問予定を全てこなすと、時計の針はもう17時半をまわっていた。辺りは真っ暗だ。これから帰社して、日報の提出が待っている。

今日の成果は相変わらずボウズだ。また指摘を受けるだろう。
でももういいのだ。私はダメサラリーマンなのでしょうがない。
もうすぐ退職する私はそれほど気に病むことはなくなっていた。

しかし、YさんとZ君のためにも、もう一件は契約をとりたい。私の意識はもはや完全に、二人の教育という方向に向いていた。(回顧録-44へ続く)

スポンサーリンク

この記事をシェアする

コメント

コメントはありません。

down コメントを残す