【無職中年男は再就職できるのか? 転職回顧録-40】クビ宣告された元無職のダメ営業マンと二人の新人

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翌日の出社後、上司に退職することを伝えた。

一夜明けて少しふっ切れた。

出社してすぐに退職の意思を上司に伝えた。

これまで私は二人の先輩のお客さんを引継ぎいできたが、今度はこうも早く自分が引き継ぎする立場になろうとは…この会社は本当に人の出入りが激しい。

さて、ここで問題となるのは誰が私の後を引き継ぐかだ。
それは間違いなくマツダくんになるのだろう。

念のため上司に確認してみると、その予想は的中した。

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しかし、私の場合は社会経験も多少あったためまだ対応できたが、はたして今のマツダくんにそれを引き受けるだけのキャパがあるだろうか。

ましてや担当しているお客さんはかなりの数にのぼる。

その不安を上司に伝えると、「彼の成長のためにも、あいつにやらせるしかない」と言い切った。

内心、「彼がつぶれてしまったらあなたの責任ですよ」と思っていたが、会社としてそういう方針ならば仕方ない。

かなりの難しいミッションだが、マツダくんにやりきってもらおう。

ただ、彼の経験の少なさからして短期間での引き継ぐが難しい。

そこで、半月ほどかけて引継ぎ兼OJTを実施することにし、退職日は一ヶ半後にしてもらった。

なんとも中途半端な期間設定だが、慌ててバタバタとするよりは遥かによい。

退職まではそう長くはないが、また面白い日が始まりそうだ。

そして、さらに面白くなりそうなことがあった。

これで必要なことは上司に伝ることができた。

また、この会社では、退職予定の人はもう外回りをしなくてもいいことになっていた。
要は引継ぎに専念しろということだ。

そこで、今後の引継ぎスケジュールと、担当者交代のあいさつ回りをするための訪問先を決めようと机に戻った。

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1時間ほどすると、面接室に行くよう上司から声を掛けられた。

まだ何かあるのかな?と思いながら面接室で座って待っていると、社長とともに一人の女性が入ってきた。
そして満面の笑みを浮かべた社長から「彼女は新入社員だから面倒見てあげてね」と告げられた。

「なぜ退職間際の私に新入社員を紹介するの?」と思ったが、どうやらマツダくんの引継ぎと一緒に、彼女にもOJTをしてほしいということらしい。

正直なところ、これは面白くなりそうだと思った。
この際、一人も二人も同じことだ。

お互いが切磋琢磨してくれれば、いい結果に結び付くのではないかと考えたので快諾することにした。

この女性新入社員を仮にオタクさんとする。

なぜオタクさんかというと、彼女はアニメが好きらしいからだ。

このオタクさんもマツダ君と同様に新卒での入社に失敗した、いわゆる第二新卒だ。
このままではいけないと思い、ハローワークで見つけたこの会社の求人に応募したそうだ。

もうすぐ退職しようとする人間が新人教育を担当するのも妙な話だが、せめて私の残りの期間をマツダくんとオタクさんで楽しくやっていこうと決めた。

もう退職することが決まっていたし、つらい外回りもしなくてよくなったので、皮肉にも、以前と比べて気分は随分と軽やかになっていた。

とはいえ、彼らにはなんとかサービスの売り込みから契約までの流れを実際に体験してもらいたい。

そう思った私は、自分の成績を上げるためではなく、教育のために小さくてもよいから少しでも多く契約をとりたいと考えるようになった。

かくして三人での引継ぎ兼OJTが始まった

まず初日は、新宿や丸の内といったオフィス街エリアでの外回りを行った。

この辺りは比較的仕事がやりやすい。複数の訪問先を徒歩で移動できるからだ。

また、道を歩く多くのビジネスマンや立ち並ぶ高層ビルを見ることで自分のモチベーションも上がる。

そしてまず1件目の訪問先に到着した。

まずはマツダくんに、今までのOJTの成果(回顧録-38回顧録-39を参照)を披露してもらうため、訪問時のあいさつ、名刺交換、相手方担当者との商談の序盤までを任せてみた。

商談といっても大層なものではなく、要は世間話だ。

成果がすぐに現れるわけではないので相変わらずのガチガチだったが、多少はマシになったようだ。

頃合いを見計らって途中から私にバトンタッチし、今利用してもらっているサービスのアフターフォローや新サービスの紹介を行った。

新規契約は取れなかったが、この外回りは二人が業務に慣れてもらうことを主眼としているので、気が楽だ。
そんなこんなで無事に1件目が終了した。

マツダくんは無事に大役を果たしたことで若干のしたり顔。
もしかして、オタクさんにいいところを見せたかったのかもしれない。

一方のオタクさんはというと、訪問中は神妙な面持ちで一連のやり取りを見ていたが、それが終わり、喫茶店でさっきの反省会をしていると、終始、嬉しそうな顔をしていた。

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なぜそんなに嬉しそうなのかと尋ねてみると、学生時代に接客業のアルバイトをしていたそうで、人と接する仕事が好きなのだという。

たしかに彼女はいつもニコニコしていて好感が持てる。
ひょっとしたら彼女にとってこの仕事は天職なのかもしれないと思った。

そしてこの日から三日間、都心のお客さんを中心に、担当者変更のあいさつをしたりアフターフォローのための顔見せを行った。

そして、四日目以降はいよいよ郊外の顧客に訪問することにした。

私の後を引き継ぐ以上、これまでのように、都心のお客さんだけを訪問するというわけにはいかない。

この仕事の厳しさは、郊外の客先回りで味わうことになるだろう。(回顧録-41へ続く)

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