【無職中年男は再就職できるのか? 転職回顧録-9】無職中年男の再就職が迷走を始めた

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もてあます時間

退職した翌日は、いつもより1時間ほど遅めに起きた。

しかしまだ、自分が無職に戻ってしまった実感がない。だけど、心にぽっかりと穴が開いているような気がした。

妻はすでに仕事に出かけたので、家の中には私一人だ。簡単な朝食をすましてなんとなくテレビをつけてみると、朝のワイドショーをやっていた。

それをボーっと見ながら、「さて、何をしようか。」と考えていた。手持無沙汰でしょうがない。時間があり余るのも困ったものだ。

時間があるのだから、本当は役所に行って退職関連の手続きをしたかった。

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しかし、会社から必要書類が送付されるにはもう少し時間がかかるので、今はじっと待機しておくよりほかなかった。

そこでまずは失業者らしく、ハローワークに行ってみることにした。

失業保険の給付手続きはまだ先のことになるが、求人検索ならいつでも誰でもできる。いい気分転換にもなりそうだった。

まあ、気分転換でハローワークに行く人は滅多にいないだろうけど…

そこで、電車で40分ほどかけて、都市部にある大型のハローワークに行ってみることにした。

平日昼間に私服で電車に乗っていることに違和感を覚える。やはり、会社員時代の感覚が体に染みついているようだった。

ハローワークに到着して受付を済ませて、周りを眺めてみた。平日にもかかわらず、中は求職者でいっぱいだ。この中には私のように倒産で仕事を失った人もいるだろう。

ハローワークと転職サイト

求人検索用の端末の前に座り、早速、仕事を探してみた。

ロクなものがないというのが率直な感想だった。

給料やお休みなど、条件があまりよくなかったり。そんなものばかりだ

それでもお宝求人を見つけようとしらみつぶしに探してみると、とてもユニークな求人が見つかることがある。たとえば、住み込みの家政婦や著名人の専属運転手など多種多様だ。

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世の中には本当にいろいろな仕事があるものだ。もちろん応募しようという気にはならなかったが…

話しのネタになりそうな面白求人は数件あったものの、応募したいと思えるようなものは1件も見つからなかった。

ただ、ほんの少しでも収穫を持って帰りたいと思い、比較的よさそうなものを2件ほど見つけて持ち帰った。

そして持ち帰ったものをあらためて調べてみると、やはりダメだった。よさそうに見えたが、冷静に検討してみると応募に値するようなものではなかった。

そこで、複数の転職サイトを色々と眺めてみることにした。ハローワークと違い、サイトに掲載されている仕事はどれも輝いて見える。はたして、この中のどれくらいの企業が私を必要としてくれるのだろうか。

応募してみたい求人も多数あった。自分の経験が活かせるかどうかは分からないが、まずは応募してみなければ始まらない。

複数の転職サイトに登録することにした。すると、10分後には求人案内のメールが届いた。さっそく、希望条件を入力して求人を検索してみた。

私の仕事はもともとIT系だったが、かなりニッチな職種で、競合する企業もほぼなかったので経験を活かせる職種がまず見当たらない。

また、比較的給料も高かったので、同じ金額の求人を探すと希望の仕事は見つからないか、応募要件がハイスペックになりすぎるかのいずれかだった。

給料面で妥協すれば何件かは候補になりそうだったが、前職とのしがらみがあり、応募できないものも数件あった。

そこで色々と考えてみた。

私にはもともと、手に職といえるほどの技術力はない。年齢的な問題もある。

だとすると、大企業に再就職することはもう無理だろう。かといってベンチャーで働くのはもうつらい。

そのときの私の頭の中はこんな感じだった。

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「IT業界からは足を洗って異業種に移ろうか」

「安定していそうな半官半民の財団にしよう。倒産の可能性も少なそうだし。」

「大学事務の仕事もいいな。これまでの経験を活かして学生の進路指導なんかもできるかもしれない。」

今思うと、甘すぎる考えだった。自分は何が一番やりたいのか、何が得意分野なのかを重要視すべきだった。

きっと倒産という憂き目にあって安定重視の考えに偏りすぎていたのかもしれない。

これが迷走のきっかけとなることを、この時はまだ知る由もなかった。(回顧録-10へ続く)

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