【転職回顧録-67】綱渡りの入試対策

受験シーズン真っただ中だった。

志望校などの相談が頻繁に塾長に持ち掛けられていた。
こういった仕事は主に塾長や社員の仕事で、我々アルバイト講師はその内容を基に授業のカリキュラムを組むことになっていた。

こういった場合に一番困るのが、実力とかけ離れている学校を志望する子供の指導だ。
どう考えても、今から2、3ヶ月では実力を劇的に向上させることはできない。
多くは、親がその学校への進学を希望していることが多いのだが、その考えを改めさせるのは難しい。
本人の方が客観的に自分の実力を把握していて、親とのギャップが激しい。

しかし、授業料をもらって指導している以上、講師の私が弱音を吐くわけにもいかない。
苦手分野を分析し、その基礎的理解がすすむよう授業を行った。

ある時は教科書の最初に立ち返ったり、より簡単な問題集を解かせたり・・・あの手この手で教え込まなければいけない。

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こうした時期は講師も非常に大変だった。なにせ、多くの過去問を正確に解かなければならない。おそらく、生徒の5倍は問題を解いているだろう。
また、どんな質問が飛んでくるかわからないので、いろいろな方面から解説しなければならない。

そんな時、塾長に呼ばれて、ある生徒の個別指導を依頼された。
なんでも、試験まではあと二日だが、古文が全くできないのでその指導をしてほしいという。
そもそも私は理系科目の指導が中心で、古文は全くの専門外だったため断ろうと思ったが、担当する先生が一人もいないのでなんとかしてほしいという。
その子は偏差値的にそれほど高くはない学校を受験するということだったので、しぶしぶ引き受けることにした。

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私はその日からは半徹夜で古文を勉強することになった。
確かに昔、センター試験対策で古文を勉強したことはあるが、ほとんど忘れているし、なにせ一番苦手なのは古文だったからだ。

たった二日間で何ができるのかという思いがあったが、まずは過去問を分析し、頻出の文法をまとめた。
こんな状態の授業では満足な解説はできなかったが、同じ日本人が書いた文章ではあるし、毎年の傾向として教訓めいた内容の出題が多いから、意味が分からなくなったら文脈を推測しろという裏技的な話をした。

後日、話を聞いたところによると、その子は無事、合格できたようだ。
おそらく、古文以外の他の科目の出来が良かったのだろう。
私にしてみれば綱渡りのような受験勉強で非常にヒヤヒヤした。

こうした時期は塾内の雰囲気は非常にピリピリしている。
そして、公立学校の入試が本格的に始まろうとしていた。(回顧録-68へ続く)

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