【転職回顧録-68】怪しい企業 その1

この頃は受験シーズンということもあり、塾の仕事が朝から晩まであったが、それと並行して、相変わらず就職活動を行っていた。

この就職活動には、転職サイトやハローワークなどいろいろな方法があるが、私の場合、転職サイトとは相性が悪かった。
なにせ、ほぼ100%書類選考に通過しない。
その反面、ハローワーク経由の求人には思い出したように面接の案内が来る。

その日も朝から授業を2コマ行った後、近くの定食屋で昼食をとっていたところ、見知らぬ番号から電話がかかってきた。
応募先企業からの電話であることは直感で分かったが、どの応募先かは分からない。

とりあえず、口に入っているものを飲み込み急いで電話に出たところ、志望度の高い企業からの面接案内の連絡だった。この企業ももちろん、ハローワークからの紹介だ。

連絡してきてくれたのは、30代の女性で、非常に感じが良かった。
そのためさらにこの企業に行きたくなった。
手帳とにらめっこしながら日程調整を行い、明後日が面接ということになった。

その日は帰宅後、すぐに想定問答集を作成し、面接に備えた。
この企業の業種は未経験ではあったが、そのなかの一部署の業務が私の経験職種にかぶっており、今回の募集はその部署による求人だった。
そのため、志望動機も作りやすく、ポイントも覚えやすかった。
あとは、前職の短期離職をどうやって取り繕うかだ・・・

そして迎えた面接当日。
会社の最寄り駅には一時間前に到着してしまった。
これも志望度の高さによるものだろう。

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近くの喫茶店に入り、持参してきた履歴書や職務経歴書、想定問答集を読み返した。
そのほとんどが頭に入っているので、もうやることはない。これでダメだったら、それはその時だ。

そして、約束の時間10分前に会社に着いた。
そこは都内の一等地にあり、入り口は黒大理石調のる自社ビルで、高級外車が2台止まっていた。
怪しい雰囲気を感じながらも、入り口をくぐると、中の壁には金色の彫刻が施されていた。
はたしてまともな企業が、こんな趣味の悪い成金風な内装をするだろうか・・・

しかし、実際に面接官に会うまでは分からないと自分に言い聞かせ、面接室で10分ほど待機していると、面接の案内を電話で連絡してきてくれた女性と、もう一人、私と同年代と見られる男性が入ってきた。

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私は椅子から立ち上がって自分の氏名を名乗り、よろしくお願いしますと挨拶をした。
女性も同じように挨拶してくれたが、その男性だけは何も名乗らず、肩書も分からなかった。また、椅子に座る態度も、面接官の取るそれとはだいぶかけ離れている。

正直に言うと、この時点で私はこの企業への志望度が半減していた。
好意的に解釈すると、わざと失礼な態度をとって私の反応を見ようとしていたのかもしれないが、大の大人に対してするべきことではない。

話の流れから、その男性は会長なる人物の息子さんに当たり、社長であることが分かった。
これでビルの内装が派手なことと、私に対する男性の態度が尊大な感じがすることの合点がいった。要は、この会社は成金趣味の同族企業だったのだ。

面接は、その男性からの質問にこたえる形で進行され、計30分くらいで終了した。
そして、私が面接室を出てエレベーターまで向かおうとすると、その男性はすぐに踵を返し、社長室があるであろう逆方向へ戻っていった。

既に私は、この会社から内定がもらえたとしても辞退しようと考えた。
おそらく、ろくな会社ではないだろう。職場の雰囲気も推して図るべしだ。

帰宅後、この会社のことを色々と深堀りして調査すると、色々な噂を見つけることができた。
その全てを鵜呑みにすることはできなかったが、信憑性の高い情報も多くあった。
やはり、いわゆるブラック度が強い企業だった。(回顧録-69へ続く)

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