Aさん、仕事から逃げる。【転職回顧録-外伝4/7】

引継ぎを終え、Aさん主導の下、リーダー業務を行うことになった。

もちろん、引継ぎを終えたからといって、いきなり全ての仕事をこなせるわけではない。

少しの間は私がフォローしながらの作業となる。ただ、私はあくまで補助。

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そして、リーダー業務の核となるレポート作成の仕事が目の前に迫ってきた。

Aさんははたして期限内にこの仕事を仕上げることができるのか?

Aさんの仕事ぶり

そもそも、Aさんより社歴の浅い私がリーダーに抜擢されたのもおかしな話だ。

年功序列というわけではないが、本来なら、私より経験のあるAさんがリーダーになる方がスムーズな流れだ。

しかしそれには理由があった。それはAさんの仕事があまりに適当だったから。上司はそのあたりの事情をよく理解していたようだ。

そんなこともあり、適当な仕事ぶりのAさんが、データ処理という緻密な作業を行うことができるのかは大きな疑問が残る。

Image by Gerd Altmann on Pixabay

もちろん上司にもそのことを伝えたが、どうやらこのまま頑張ってもらうようだ。
これが人材難というやつか…

ただ、Aさんが不真面目かというとそういうわけではない。むしろ真面目な方だと思う。

きっと、これまでの仕事でエクセルなどを使ったことがないだけなのだ(それはそれで驚きだが…)。

しかし、いつまでも心配ばかりしてはいられないので、引継ぎをドンドン進めることにした。

まず、分からないところで詰まっていては先に進めないので、とりあえず最後まで作業内容を説明する。そして、また最初からそれを繰り返す。

こんな感じで何回も同じことを繰り返していれば、次第に要領をつかめてくるはずだ。

引継ぎが進むにつれて最初に比べれば多少はマシになったものの、残念なことに劇的な向上は見られなかった。

できる限りのことはやったのだから、限られた時間の中ではこのあたりが限界なのかもしれない。

Aさんによる作業は初の本番を迎えた

ついに作業本番の開始日を迎えた。

まずは作業結果のデータ集計を行ってもらうことにした。これはレポートの肝となる部分なのでミスは許されない。

もちろん、Aさん一人に全ての作業をいきなり任せるのはあまりに酷なので、私はそばで結果のチェックとサポートをしていた。

ちなみにここでの作業内容はクライアントへ納品する書類のひとつとなる。それだけに慎重に行わなければいけないし、さらには3~4日間で仕上げなければ納期に間に合わない。

さて、どうなることやら…

一日目。
Aさんはまだ余裕の表情だった。
なにせ隣には私がいるし、数日間の時間的余裕もあるからだ。

二日目。
少々焦りが出てきたものの、まだまだ余裕がありそう。

作業ペースの遅れを感じたが、そこにはあまり口出しせず、いつまでにどれくらい仕上げておくべきか口にするにとどめた。

三日目。
ここでまさかの緊急事態発生!

なんとAさんが仕事を休んだのだ!

奥さんが寝込んだのでその看病のためらしい。奥さんの看病と言われればこちらとしては何も言えない…

しかしこれに焦ったのが私だ。なにせ期限まであと一日、よくて二日しかない。にもかかわらず作業はさほど進んでいない。

私が一心不乱でほぼゼロの状態からブツを仕上げ、なんとか間に合わせることができた。

四日目。
Aさんが平謝りで出社してきた。

表面上はAさんに「奥さん大丈夫でしたか?」とは言ったものの、私は内心、こう考えていた。

『さては逃げたな?』

これはうがった見方かもしれないが、慣れない仕事の期日が迫ってどうしようもなく焦ったので、私に全てを丸投げしたのではないかと考えている。

おそらく、これが休んだ真相であることに間違いないだろう。

とまぁ色々とあったが、一通りの引継ぎは終わった。残りは数日あればすぐに伝達できることばかりだ。

それにしても、本当にこの人で大丈夫か不安が尽きない。

次回以降の作業では、私はもう会社にいないのだ。

作業内容は上司にも伝えているのだが、上司にはもっと他の仕事があるのだから、細かい作業のやり方までは把握できていないだろう。

ここからは本当にAさんがチームの肝になるのだ。

私が退職してもAさんから質問の電話がかかってこないことを祈るばかりだ。
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◆ 転職回顧録-外伝5/7へ続く

退職日を迎えた。そんな私にちょっとしたサプライズがあった。

本日が最後の勤務【転職回顧録-外伝5/7】
帰りの電車の中で窓の外を見ると、桜がちらほら咲き始めていた。思えば、この時期はいつも無職かアルバイトだった。なんでこんな人生になってしまったのか。きっとどこかで選択肢を誤ったのだ。もう取り返しがつかないのか、いや、始まりはこれからなのか。
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