ここまでのおさらいと今回のお話
模擬面接も終わり、いよいよ最終面接日を迎えた。
この最終面接さえクリアすれば、失意の日々ともお別れだ。
気合十分で臨んだ面接の結果はいかに?
はたして、40代無職は内定を勝ち取ることができるのか?
今回は、無職中年男の最終面接の様子をお伝えします。
40代無職中年男、この面接にかける!
今できる限りの面接対策はやった(転職回顧録-18を参照)。
しかし、どこか不安が残る。まあ、面接を控えた人の気持ちは大体こんな感じなのかもしれない。
クリーニング済みのスーツに着替え、久々にビシッとした格好をした。
そして家を出るとき、妻にあることを頼んだ。それは、頬に一発、平手打ちをしてもらうことだった。
自分に気合を入れるためだが、結構痛かった…
会場に到着して受付の女性に履歴書と職務経歴書を提出すると、待機部屋に案内された。
席に座り周囲を見渡してみると、今日の面接に呼ばれた人は少なかったように見える。
もしかして、前回の筆記試験で人数が大幅に絞られたのかもしれない。
少なくとも、筆記試験の人数に比べて1/10くらいには絞られているようだ。
年齢層としては30代~40代半ばといったところか。
私は無言で椅子に座り、自分の名前が呼ばれるのを待った。
そして最後の仕上げをするため、途中でいったんトイレに向かった。鏡に映る自分に大丈夫だと言い聞かせるためだ。
そして、スーツにゴミはついていないか、ネクタイは曲がっていないか入念にチェックし、肩をぐるぐる回して、固まった筋肉をほぐしした。
いざ面接!
準備万端で部屋にもどり、さらに待つこと10分。ついに私の名前が呼ばれた。
面接室に向かう途中にもう一つ別の面接室の前を通ると、そこから談笑する声が漏れ聞こえてきた。
きっといい感じに盛り上がっているのだろう。
そんな穏やかな雰囲気の面接を期待しつつ自分の面接室に入室すると、男性2名と女性1名の面接官が座っている。
どの面接官も40代後半~50代半ばといった感じで、心なしか少しピリついた雰囲気がする。独特の緊張感だ。
最初は、志望理由や前職の退職理由などお決まりの質問が2、3行われた。
ここで私の悪い癖がでた。
準備していた回答を、そのまま音読するようなかたちで話してしまった。
きっと、『ミスしないように話そう』、『暗記したとおりに話そう』という意識が強いのだ。
別に悪いことではないかもしれないが、相手にお固い印象を与えてしまうし、なにより、予想外の質問をされてしまうと頭が真っ白になって柔軟な対応ができなくなってしまう。
なかなか治らない悪い癖だ。
淡々と進む面接
そして、面接は淡々と進み最後の質問となった。
『うちは給料が安いけどいいですか?』
まさかそんなことを言われるとは思っていなかったので若干戸惑ったが、良いも悪いもない。
ここまできて『じゃあやめときます』なんていう人はいないだろう。
前職では比較的高給だったので、おそらく、それを考慮しての質問だったのだろう。
そこで私は『御社の仕事内容に大きな興味があって応募しました。通常の生活ができれば給与の額はさほど意識していません。』とだけ返事をした。
我ながら100点満点の回答ではないだろうか。この回答はウソではない。
別に高い給料なんて求めていないのは本当だ。平均的な衣食住でいいから、とにかく正社員として働きたいだけなのだ。
時間にして約30分。やっと面接が終わった。
緊張していたせいもあって、ドッと疲れが出てきた。
面接終了後には毎回思うのだが、『盛り上がらなかったなあ』とか『面接官の表情に笑顔がなかったなあ』とかそんなことに一喜一憂してしまう。
恒例となった一人打ち上げを行うため、帰路、ラーメン屋に立ち寄った。
スーツで飲食店に入ると、社会の一員に自分も加われたような気がするから不思議だ。
完璧とまではいかないが、考えられる限りの対策を行って臨んだ。
この日ばかりは好きなメニューを注文し、ささやかながら一人で打ち上げを行った。
そして、3日後、自宅の集合ポストにAは社からの郵便物が届いていた。
A社の採否を知らせる郵送物。無職の日々に終止符を打つことはできたのか?