ここまでのおさらいと今回のお話
押し寄せる絶望。
それでも私は倉庫アルバイトで汗を流す傍ら、求人応募の毎日を送っていた。
しかし、あまりにも手応えのない日が続く。当然、心が次第にすさんでいく。
そしてアルバイトをしながらも金がなくなりかけると、実家に少しばかりのお金を無心する。こんな情けないことはない。
自暴自棄になりながらも一縷の望みをかけて求人を探していると、一件の気になる求人を見つけた。
はたして私はこのまま腐って朽ちていくのか、それとも希望の光は見えるのか?
無職男の絶望。俺はもうダメかもしれない。
倉庫で働きながら、転職サイト、ハローワーク、エージェントなど、考えられる色々な媒体を通じて求人に応募した。
その当時33歳。再スタートとしてはギリギリの年齢だと思っていた。
企画書を書いて応募書類に添付したり、自分の熱意を示すために色々な工夫してはみたものの効果は全く見られない。
どうやら、33歳はまだやり直せる年齢と考えていたのは自分だけのようだった。
採用側からしてみれば、一貫したキャリアのない私ような人物は敬遠したい応募者とみなされていたのだろう。
書類選考すら通過しない日々が半年近く続いていた。
当時は毎日のように求人を検索し、三日で二社への応募をノルマにしていたが、それでも時間を持て余してしまう。
そうなると、定職についていない自分に自己嫌悪する。
そんな気持ちを紛らわすために、積極的に近所を散歩したり図書館に通っていた。これならばお金を浪費しないで済む。
とはいうものの腹は減る。節約を心掛けていたが、それにも限度がある。アルバイトはしていたものの、それでもお金が足りなくなると実家に仕送りを頼む。
これほど情けないことはなかった。散歩しながら涙が出そうになった。
こんな生活がいつまで続くのか、俺はもうダメなのか、実家に戻ったほうがいいのか、そんな思いが頭の中をグルグルと駆け回っていた、
そんなある日、いつものようにハローワークで仕事を探していると、ぜひともやってみたい仕事を見つけた。
この求人は、隅から隅まで舐めるようにして奇跡的に見つけたものだ。
仕事内容も勤務地も給与も申し分ない。なんでこんな案件がハローワークなんかに出ているのだろうと不思議に思ったくらいだ。
ただこれほどの条件であれば、その競争率はとんでもない数字になることが予想されたので、念のために現在の応募状況を聞いてみた。
すると、応募締め切りまで一か月以上あるにもかかわらず、すでに50倍を超えているとのことだった。
最終的にはこの倍はいくだろう。
絶望的な数字だ。ヤル気が一気に削がれていく。
絶望の無職男が一縷の望みを託したお宝求人
この案件は隅から隅までチェックしないと見つからないようなお宝求人だが、それを見つけることができたのは私だけではなかったのだ。
倍率がこうも高いと挑戦するだけ無駄かもしれないので、応募するか躊躇した。
きっとものすごい経歴の人が何人も応募してくるのだろう。そんな人たちに勝るポイントは私には何一つない。
『失うものはないのだから、不採用だったとしても痛くもかゆくもない。』
そんな心の声に突き動かされるように、ダメもとで応募してみることにした。
どうせ時間を持て余しているんだし、納得のいく応募書類を作ってやろうと意気込み、とにかく熱意だけでもアピールすることを心掛けた。
それにはまず、履歴書が採用担当者の目に留まらなければ何も始まらない。
そのためフォーマットを大きくいじり、自分のやりやすいように書き換えた。もちろんPCでの作成だ。こんなものを手書きしていては日が暮れてしまう。
そして、嘘とは言わないまでも、ちょっとだけ話を盛った職務経歴書を作成した後、さらに何度も何度も見直して推敲を繰り返した。
時にはハローワークの職員からのアドバイスももらって、それらを書類に反映し、なんとか納得のいくものを作り上げることができた。
そして最寄りの郵便局に行き、祈るような気持ちで応募書類を郵送し、そこから待つこと2~3日。先方から電話があった。
それはなんと、書類選考通過の連絡!
絶望や失望が続いた中で、少しだけ希望の光が見えてきた。
やっとつかんだチャンスだ!!
この好機を逃してなるものかと意気込む私であった。
もう後がない。絶望の毎日から抜け出すため、一縷の望みをかけて臨んだ面接の結果は?