ここまでのおさらいと今回のお話
営業先を訪問するようになって約一ヶ月半が経過しようとしていた。
独り立ちしたのだから、4~5件/日程度の訪問で許されることはない。
15~20件/日の訪問件数が課せられるようになった。
はたして営業未経験者の私にそんなことができるのか?
次第に焦りが出てくる。
そして私は徐々に、ノルマという数字の悪魔に追い込まれていくことになる。
営業のプレッシャー
退職した彼のことが気になりながらも(回顧録-31を参照)、私は自分の仕事を精一杯頑張っていた。
このころには、もう一人立ちしたのだからということで、4~5件/日程度の訪問で許されることはなかった。
そして課されたノルマは15~20件/日。
さらに、一日の終わりには日報の提出が義務付けられており、その日の外回り件数やお客さんの感触などを細かくチェックされていた。
私は少しづつ、自分の置かれた状況が厳しくなっていくのを感じていた。
そんなプレッシャーと闘いながら連日のように外回りしていると、気付くことがある。
それは、当たり前のことではあるが、アポ取りが重要ということだ。
アポがなければ、突然訪問しても担当者が会ってくれる可能性は低い。
それにしても、このアポ取りには非常に悩まされた。
会社のデスクにしがみついてアポ取りの電話ばかりしていると、『とっとと外回りしてこい』との注意が入る。
そうなると当然、外回りの合間に電話をかけるしかないが、このアポ取りには思ったよりも手間がかかる。かといって、移動中にそのための時間を割くことは難しかった。
せめてノートPCさえあれば効率的に連絡先をあたれるのだが、そもそもPCが支給されていないので、それも叶わない。
なんとか帰社後にアポ取りの電話をしようとしても残業規制が厳しうえに日報を書くだけで時間がすぎてしまう。
そんなわけで連日、自転車操業のようにアポをとりながら、なんとか毎日の外回りをこなしていた。
そして、アラフォーという年齢で未経験の仕事に就く大変さを身に染みて感じ始めていた。
ダメ営業マン、それなりに悩む。
私は人当たりはよいほうだ。
また、雑談であれば大体の話題にはついていけたので、聞き役に徹していればお客さんとの会話は弾む。
しかし、肝心のサービスの話になるとそうはうまくいかない。
こういった話になると、これまでの付き合いがあるから『今は間に合っている』という答えが返ってくる。
それは確かにそうだ。
今時、コピー機や大型シュレッダーなどのオフィス機器がそうそう売れるわけがない。
スタートアップ企業ならまだしも、創業からある程度の年月が経過していればそれなりの設備は整っているだろう。
もちろん、扱っている商品やサービスはその他にもあるのだが、大体は『検討しておくよ』ということで話が終わってしまう。
このあたりをうまくやることができる人は営業センスがある人なのだろうが、私にはそういった才能はないようだ。
このころになると私は、新規サービスの申し込みを獲得できないことに焦りを感じてきていた。
一体、どうやったらお客さんに興味を持ってもらえるのだろう。
本なども見て勉強はしてみた。そしてそれを実践もしてみた。
だが、うまくいかない。
上司からは年齢相応の結果を求められていたため、もうそろそろ契約をとってこいと発破をかけられるようになっていた。
分かってはいるけれど、そんなに簡単にいくわけではない。
しかし、今のままではそれができそうもない。
なんとなく、退職した同期の彼の気持ちが分かる気がしていた。
先輩たちは、月にどれくらい売っているのだろう?
そんなことを考えると、余計にプレッシャーを感じるようになってしまった。
売れそうにない商品と、売れそうもない営業。
頑張って入るのだが、結果がついてこない。
次第に、私のなかにモヤモヤとした気持ちが沸き上がるようになってきていた。
仕事で思い悩む日々。そんななか、先輩から衝撃的なことを告げられる。
転職回顧録、毎回楽しく読ませていただいてます。
もう十数年も前ですが、OA機器の営業をやったことがあったため、
今回の内容は、当時の様子が回顧されました。