転職回顧録-36

あらためて引継ぎされた顧客一覧を眺めた。

それまで私が担当していたものに加えると膨大な数になる。データはエクセルにリストとして記載されているだけで、様々な条件で抽出することができるDBのような形では記録されていないため、管理が大変だ。

DBを新たに作成してそこに投入することも考えたが、日々の業務に追われそのような時間は取れない。そのような時間があったら外回りして足で稼ぐというのが会社の方針だ。
そして肝心の新規契約の獲得状況はというと、小さなものは少しづつ取れてはいたが、成績としては芳しくない。

そんな時、またしてもショッキングなことを知らされることになった。

今まで引継ぎを受けていた先輩とは別の先輩も退職するという話を聞かされたのだ。
普段はあまり接点のない先輩だったが、顔を合わせれば軽く話をする仲だった。私の知る限りこれでもう三人目の退職者だ。

なぜこれほどまでに同じようなことが続くのだろう。
さらに追い打ちをかけるようにその後任は私になったのだ。
またしても短期間で引き継ぐことになるのだろうか。もうウンザリしていた。

上司にこの件を相談しに行くと、今回の引継ぎは一週間で行う予定だという。
前回の二日間に比べればまだましだが、まともな期間設定とは思えない。
この引継ぎ期間が何を基準にして設定されているのかさっぱりわからなかった。

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こうして入社二ヶ月も経たないうちに早くも二人から引継ぎを受けるという異常事態に陥った。方法はこれまで同様、お客さんのところを回って新担当者である私の名刺をひたすら配る。この先輩の退職の話を聞かされた翌日から一週間、これを繰り返した。

この引継ぎで外回りをしている間、この先輩からいろいろな話を聞いた。
人員の入れ替わりが激しいこと、会社の代表の好き嫌いが激しく、そりがあわない人は次々と辞めていくといったことなど。
話を聞いていると、この組織には、現状を改善する姿勢はないようだ。
人が辞めれば補充することを繰り返しているように思われた。

こんな日が一週間続き、引継ぎも終わって一息ついていたところで上司に呼ばれた。評価面談を実施するというのだ。

私の成績が芳しくないのは明らかだ。案の定、そこを突かれた。
このままでは会社として評価できる部分がないので、自分なりの売り上げ目標を設定して報告するよう言われた。
たしかに会社はボランティアで私を雇っているわけではないので、給料に見合う売り上げは当然必要だ。

しかし、給料に見合う目標設定を概算すると、これまでの実績からは到底達成できる見込みはなかった。部屋を出て、これからどうしようかなどとボンヤリと考えていた

翌日はちょうど休みだったので自宅でその目標をあらためて計算してみた。何度見てもやはり無理な数字だ。今まで多くの人が辞めていったのは人間関係が原因と聞かされていたが、こうしたノルマ設定も大きな要因だったのではないだろうか。
だとすれば、私も近いうちに同じ結末を辿るのではないか。そんなことを考えるようになっていた。(回顧録-37へ続く)

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