転職回顧録-38

会社に出社して目標管理を提出した後(転職回顧録-37を参照)、その日もまた外回りへ向かった。

寒空の下、その日も15件ほど必死になって郊外の客先回りを行ったものの、結局、目立った成果は得られなかった。

実はこのとき、私の成績が芳しくないことを会社も把握しており、その対策として会社負担で外部研修を受けさせてくれていた。しかし私は、それを十分に活かすことができていなかった。
そういったこともあり、会社の管理職たちも私の成績不振には歯がゆい思いをしていたのではないだろうか。

そして帰社後、デスクワークをしていると代表から面接室に来るよう言われた。
おそらく、朝提出した目標管理についてだろう。

おそるおそるドアを開けて席に着くと、開口一番、「これではダメだ」と言われた。
目標が現実的ではないという。それはそうだろう。自分でもわかっている。
しかし、給料以上の成果を上げるとするならば、その数字でなければ無理なのだ。

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とにかくやり直しを命じられ、もう少し具体的な数字に設定し直すことにした。
ただ、それだと目標が低すぎると指摘されることは容易に想像がつく。
そこで当初の数字よりも若干低く修正したものを提出すると、それで頑張りなさいと言われた。ハッキリ言うと、これでも達成不可能な数字なのだが・・・

このころから、「経営者目線を持て」などといったスローガンが朝礼で頻繁に連呼されるようになった。この他にも、どこかのビジネス雑誌で聞いたような言葉がたくさん並べられる。
起業を考える人にとってはいいのかもしれないが、私のような人間には現実的ではなく話が全く頭に入ってこない。言葉が薄っぺらい。毎朝このような朝礼が繰り返され、辟易していた。

このころ、新たな男性社員二人が第二新卒として入って来た。
聞けば、新卒で入った会社が肌に合わず早くに退職し、その後は一年ほどフリーターをしていたという。最近よくあることだ。
そのうち一名のOJTを私が担当することになった。仮にこの彼をZ君とする。
とはいえ、私も入社してからまだ日が浅く、経験値はZ君とほとんど変わらないのだが。

最初から郊外を連れ回すのは厳しいだろうと考え、なるべく都心の顧客中心に訪問することにした。まだ社会人経験が浅いということなので、名刺交換の仕方や商談の進め方などを私の横で見てもらうことを1週間ほど続けた。
そしていよいよ、実際に自分でやってもらうことにした。

Z君は緊張でガチガチだった。
噛みまくる、資料を忘れるでなかなかフォローが大変だったが、私も新卒時はきっとこんな感じだったのだろう。まあこのあたりは慣れだ。
外回り同行の前は楽勝とタカをくくっていたようだったが、実際はそうではなかったのだろう。次第にションボリしてくる様子が分かったので、仕事帰りに何度か呑みに誘い、色々と励ましていた。

ただ一つだけ、Z君には可哀想なことをしたと思っている。それは、実際に商談が成立する現場を見せてあげることができないことだった。これは私の力不足以外の何物でもない。
そこでサービス申し込みの見込みがありそうな同僚に頼み込み、その日だけはそちらに同行してもらうようにした。

たとえ新入社員のOJTとはいえ、一人よりは二人での外回りの方がよほど楽しいと思う毎日だった。(回顧録-39へ続く)

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