ここまでのおさらいと今回のお話
そろそろ勉強合宿が間近に迫ってきた
生徒にとってはドキドキだろう。
私にとっても人生初のイベントだ。それだけでなく、本当にうまく教えられることができるのか?
教えるこちらにとっても不安は尽きない。
はたして合宿は何事もなく無事に終了することはできるのか?
工場での仕事を終え、塾へ向かった
合宿準備のために残った作業と言えば、授業用ノートの作成だ。
実はこの作業、副教材作りと同じくらい大変だった。
スムーズで分かりやすい授業のためには、一度頭の中にある知識を整理してノートに落とし込み、授業で解説する内容をまとめておく必要がある。
いつもの授業であれば、一つの単元に集中して解説するだけなので比較的楽なのだが、合宿では解説する単元がはるかに多いので、必然的にその作業量も多くなる。
大体、一単元につき10~15ページくらいの授業ノートを作るので、合宿では最大150ページほどの授業ノートを作っておかなければならない。
それに加えて、私お得意の竹ひごやマグネットを使った小道具も作っておきたかった。
これらを帰宅後に作らなければならなかったので連日寝不足気味だった。
塾講師のアルバイトはこうした下準備が必要となり、それが大変で辞めていく人も多いらしい。
ただ私はもともとこういった作業は好きなので、それほど苦にはならなかったが、完全に時給以上の仕事をしている。時間外手当がほしいところだ。
合宿初日
やがて工場でのシフトが休みに入り、その翌日に合宿初日を迎えることになった。
当日は早めに起床して、集合時間の1時間前に待ち合わせ場所に到着して参加者を待っていると、続々と子供連れの保護者が集まってきた。
何十人もの出欠をとるのは大変だったが、幸い、参加者全員が遅刻せずに来てくれたおかげで、比較的スムーズに出発することができた。
あとは、体調不良やサービスエリアでの迷子に注意するだけだ。
大きなトラブルもなく宿泊先のホテルに到着した。
そしてここからいよいよ、講師としての仕事が始まることになる。
少しの休憩を撮った後、さっそく授業が始まる。
合宿だからとって鬼教師になるつもりはなかったが、短期間で大量の情報を生徒に伝えなければならないので、多少の厳しさは必要だ。
そこで、怒涛の解説を行った後に洪水のような大量の問題演習を課し、まさに詰め込み授業を行った。
しかし生徒にとっては新鮮かつ刺激的な体験だったようで、普段よりも厳しい授業にもしっかりと付いてきてくれた。
私はこれまで、勉強合宿に否定的な考えを持っていたが、いつもとは違う環境で勉強することは、案外いい試みなのかもしれないと考えるようになった。
初日の授業が終わっても気が抜けない
そして、合宿初日は無事に終わったが、講師陣の仕事はまだまだこれからだ。
小テストの採点、明日に向けてのミーティング、各部屋の見回りなどをしなければいけない。
まだ初日にもかかわらず、どの講師も疲労困憊の様子だった。
諸々の作業が終わった時点で、時計の針はすでに深夜の1時半を回っていた。
ちなみに、引率者の起床時間は早い。
朝のラジオ体操や早朝小テストなどの準備があり、講師は5時集合となっている。そのため、睡眠時間はほとんどなかった。
果たしてこの先体力が持つかどうか不安だったが、何とか乗り切るしかないと自分に言い聞かせて、ベッドに倒れ込むようにして眠りについた。
とてつもなくハードな合宿が始まった。そんななか、私はある新しい取り組みを授業に取り入れてみることにした。