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【転職回顧録-72】謎の企業

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ハローワークで印刷してきた求人票(転職回顧録-71を参照)を家でじっくりと調べてみた。

求人票を見れば見るほど、私の職種経験を活かせそうだと感じたが、肝心の企業名をネットで検索してみると、ほとんどヒットしない。こうなってくると、逆に不安になってくる。
本当にこの会社は大丈夫なのか。

しかし、まだ書類選考を通過しているわけではない。もし面接に進めたならば、そのときに面接の雰囲気を考慮して今後の方針を決めてしまえばいいだけだと気を取り直して応募することにした。

ところで、応募書類は志望動機が重要だ、と私個人は考えている。
これまでは未経験職が多く、その志望動機の作成には苦心したが、この求人ついてはそのようなことはない。経験種だけに比較的スラスラ書くことができる。

そして、志望動機のほかにもう一つ大事なことがある。それは、論理的な文章を書くことだ。

履歴書のようなビジネス文書の構成では起承転結ではなく、冒頭に結論を配置する方が好まれる。

私もそれにしたがって、多すぎず短かすぎず、専門用語を多用しない方針で文章を書いた。そして、妻にも見てもらい、誰が見てもわかりやすいものに仕上げた。

翌日、さっそくハローワークで紹介状を発行してもらい、念のため、職員に自分の作成した書類一式に目を通してもらった。
その結果、「キッチリ書けてますね」との言葉をもらうことができた。
この一言で安心することができ、その足で郵便局に行き、祈るような気持ちで郵送してきた。

これで何社目の応募だろうか。ふと、そんな考えが頭に浮かんだ。

普段は、アルバイトながらも塾講師の仕事をしており、その時だけは就職活動のことが頭に浮かぶことはない。
しかし応募書類を作成したり郵送したりするたびに、今後の人生に不安を感じてしまう。
もし、状況が改善しないようであれば離婚は避けられないだろうし、私自身、不安定なアルバイト生活から抜け出せなくなるかもしれない。そうなれば、人生が行き詰ってしまうことは明らかだ。

この日は塾の仕事がなかったため、そのまま帰宅して、呼ばれるかどうかもわからない面接対策をたてることにした。
もしここがダメでも、違う企業の面接対策になるかもしれない。
決してムダにはならないだろう。

自分のやりたいこと、それは事業としていかに発展的であるか、それを行うためには自分の経験をどう活かせるか。
そんなことにいろいろと考えを巡らせていると、あっという間に夕飯時になった。
悲しいことに、無職であっても腹は減る。

食欲はあっても金はないので、この日は冷凍食品を温めたものにお味噌汁とご飯というごくごく質素なものを作ることにした。
こんな夕飯であっても、妻は愚痴を言うでもなく、一緒に食べてくれる。
そんな光景を見るたびに、一刻でも早く再就職を見つけなければならないと強く再認識した一日だった。(回顧録-73へ続く)

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