ここまでのおさらいと今回のお話
やっとの思いで再就職を果たしたのも束の間、私はこの会社を辞めることにした。
今までで最短期間の退職になる。
周囲の反対は火を見るより明らかだったが、精神的にもう持ちこたえられそうになかった。
前任者が一年間で辞めた理由がよくわかった。
むしろ一年もよくもったもんだと思う。
しかしこれをどう伝えるか…
そして、私は義実家や職場に辞意を伝えることにした。
私の決心
もうこんな会社で神経をすり減らしながら仕事をするのはやめることにした。
ただ、妻には随分と心配や迷惑をかけることになる。
この会社の内定が決まった時はとても喜んでくれたのに、彼女をふたたび悲しみに沈めてしまう。
そして、義両親にも報告することにした。
これは本当に辛かった。
土曜日の晩、妻と一緒に義実家を訪れ、職場でパワハラを受けていること、このままだと精神のバランスを崩しかねないことを告白した。
そして言われた言葉はこうだった。
『どこにでもそんな上司はいる』
『みんな辛い思いをしながら働いているのに、なんでそんなに簡単に辞めてしまうのか』
どれも予想していた言葉だ。
そしてとどめの言葉がこうだった。
『せっかく転職したと思ったらすぐに退職を繰り返し、こちらも疲れた。娘とは別れてほしい』
テレビではしきりにパワハラ問題が取り上げられており、大半の人はそれに対して否定的な考えを持つ。
しかし、身近な人がパワハラが原因で仕事を辞めようとすると必ずこう言うのだ。
『どこにでもそんな上司はいる』
『苦しいのはお前だけじゃない』
『我慢しろ』
結局、第三者の認識なんてそんなものだ。
建前では「パワハラ禁止!」と言うものの、身近な人に対しては「我慢が足りない」と言ってしまうのだ。
この傾向は60代以降の人たちに特に多いと思う。
パワハラを受けたときの苦しさは、被害者本人でないと分からないのだ。
私は、義両親にパワハラのつらさ理解してもらうことはもう諦めていた。
だから、ただただ謝罪するしかなかった。
そして半ば強引に会社を辞めることを伝えて義実家を後にした。
職場への辞意
あと私がやるべきことは、職場に辞意を伝えることだ。
まずは社長に口頭で伝えるために、その日を狙っていた。
そして、ついにそのときが訪れた。
二人で話せそうな時間ができたので、相談があると言って社長を別室に誘い出すことに成功した。
もともと世間話をするような仲ではなかったので、単刀直入に退職を切り出した。
私のことを嫌っている社長ではあったが、これにはさすがに驚いた様子だった。
そして、こう言われた。
『お前がこれまで何回も転職をしてきた理由が分かった気がする』
もうたくさんだ。
そんな声がのどまで出かかった。
社長のまさかの行動。こいつはサイコパスか?
そして二人してオフィスに戻ると、社長がいきなり、私の退職を皆に告げはじめた。
このタイミングでいきなり?
やはり、この人はどこか頭がおかしい。常識では考えられない行動をとる。
きっとサイコパスとはこういう人間のことを言うのだろう。
でもまあ、いいか。
遅かれ早かれ分かることだし、私の口から言うのが省けたわけだ。
そして、退職日は2週間後となった。短期間ではあるが、お世話になった関係者にも挨拶をした。
みんな驚いていた。
仲良くしてもらった熊さんからは、寂しいと電話で告げられた。
いい思い出の少なかい職場だっただけに、唯一の友人といえる熊さんと別れるのは余計につらい。
そこから退職日は長いようで短かった。
そしてふと思うことがある。それは、私は一体、ここで何をしたかったのだろうということだ。
最初は職場環境を改善して作業効率を上げようなどと意気込んでいたが、それは敵わなかった。
そして、私は最終勤務日を迎えた。
そして退職が正式に決まった私。はたしてその後任とは?それは驚きの人事だった。
分かります。
私も転職先でのイジメ?パワハラ?で短期離職した経験がありますので。
家族に窮状を伝えても理解してもらえませんよね。
私も言われました。
『新参者には風当たりが強いのは当然だ』『我慢すれば慣れる』
でもそうなる前に精神壊したら誰が責任とってくれるのかって考えたら…
自分自身の限界は、自分しか分かりませんからね。
心が壊れる前に退職されてよかったと思います。
でも他人から見たら甘えなんでしょうね。