ここまでのおさらいと今回のお話
大学院で学びなおすという目的のため、新卒で入った会社を約３年で退職。
懸命に勉強した甲斐もあり、目的の大学院へなんとか入学できたものの、目標としていた成績に達することができず、やむなく退学。
そして再び社会人へ。
ただ、ことはそう簡単に運ばなかった。
なにせ、チグハグな経歴の私を引き取ってくれるような会社はなかなか見つからなかった。
そんななかでも、なんとか自力で探し出した再就職先。
人生の軌道を元に戻すべく必死に働いた先には何が待っていたのか。
悲惨な転職失敗談は、ここから幕を開ける…
前途多難な再就職活動
新卒で入社した会社を約3年で退職した。
そこから大学院に入りなおして一生懸命勉強したが、思ったように成績は振るわず、1年半で自主退学することになった。
そこからはすぐに再就職活動を行い（40代無職、絶望的な転落人生。私が会社を辞めた理由。【転職回顧録-倒産編1/8】を参照）、ふたたび社会人として働き始めることを決意した。
しかし、この再就職ではかなりの苦戦を強いられた。
そもそも何かに特化したスキルがあるわけでもなく、パッと見ると何を目指しているのかよく分からないチンプンカンプンな経歴だ。
約30社ほどに応募したものの、箸にも棒にも引っかからない。
さらには、こんな私を転職エージェントも相手にしてくれなかった。
『希望に沿う求人があればあらためてご連絡します』
多くのエージェントからくるメールにはこんな文面ばかりが書かれている。
要は、『無職のあなたには紹介できる案件はない』と言われているわけだ。
他力本願がダメなら仕方ない。私は自力で応募先を探すことにした。
色々と調べてみると、求人媒体に掲載していない企業は意外にたくさんある。そこで様々な企業や事務所のホームページをネットで検索し、電話で採用活動をしているかどうかを問い合わせた。
我ながらよく頑張っていたと思う。
そして、やっとのことで応募可能な企業をいくつか見つけることができた。
当時まだ30歳すぎの年齢だったことも幸いして、そのうちの一つからなんとか内定をもらうことができた。
詳しい職種は言えないが、大まかにいうと士業だ。なぜ士業を選んだのかというと、これまで勉強してきた内容を活かせそうだったからだ。
しかし実際に働いてい見ると、この仕事に面白味を感じることは全くできなかった。
最初のうちは『仕事を始めたばかりだから、実感はまだ湧いてこないのだろう』と自分に言い聞かせ、修行のつもりで一年ほど仕事に打ち込んだ。
本を買って自主的に勉強したり、社内の資料を引っ張り出してきて自分なりに研究してみた。
そんななか、新人が入社してきた。彼は社長と出身大学が同じらしく、よく可愛がられていた。
しかし、これが私に大きな影響を与えることになる。
数か月後、少しづつ私よりも彼に仕事が回されるようになった。私としては仕事上で大きなヘマをやらかした覚えもなかったので、この状況には不満を抱いていた。
そこで私は、自分の指導係に当たる上司に相談してみたが、『君はこの仕事に向いてないのかもしれない。違う分野に目を向けるのも一つの考えだ』と、まさかの返事…
もしかしたら私の年齢を考えて、早めに再スタートを切ったほうがいいという親心だったのかもしれない。
しかし、励ましを期待していた当時の私は、この言葉に大きなショックを受けた。甘いと言われればそれまでだが・・・
その後、この先も仕事を続けていくべきか、辞めたほうがいいのか悩んだが、結局、辞めることにした。
そして30代無職アルバイトへの転落
仕事を辞めるときには実家と一悶着あった。
新卒で入った会社を3年で辞め、大学院を1年半で中退し、その後せっかく入った会社も辞めてしまう。
両親はそんな根無し草な息子に呆れていたのだろう。
ただ、当時の社内には相談に乗ってくれる人が誰もおらず、私は精神的に随分と参っていた。
ここに残っていても窓際に追いやられるだけだし、このままでは悩みは解決しそうになかった。
そして、退職を思いとどまるよう父と母からの説得が始まる。そうなるといつも電話越しでの口論が始まる。
そうした状態が１～２週間ほど続き、私はついに、誰が何と言おうと仕事を辞めると宣言し、一方的に電話を切った。
精神的にもう限界だった。
翌日、出社してからすぐに社長に退職の意思を伝えた。
特段の慰留もなく、翌週には退職することになった。
結局、この会社にとって私はその程度の人材でしかなかったということだ。全くの戦力外だったのだろう。
ここを辞めてからは自分の我慢のなさや能力の低さに落ち込む日々が続いたが、そんなこととは無関係に生活費は発生する。
無職・無収入の生活はきつい
当然ながら、無職の私には収入がないので生活資金に困るようになる。
そこでやむなく、私はアルバイトを探すことにした。
求人誌を眺めていて見つけたのは、巨大な冷凍倉庫の中で荷物を仕分ける仕事だ。
少しでも多く稼ぐために、私はそこで時給の高い深夜帯に働くことにした。当時まだ30代ということもあって、すんなりと採用された。
このアルバイト先には20代～60代まで色々な年齢層の人が働いていた。
なかには明らかにヤバい人もいた。
どうヤバいのかというと、レゲエにどっぷりと影響を受けており、40代も過ぎているというのに全ての行動がそっち系のノリなのだ…
私も無職なので世間一般から見れば十分にヤバいのだが、それを上回るヤバさだった。ヤバいというか、痛いレベルだ。
まあ、そんな人のことはどうでもいい。
決してこのアルバイトの内容がつまらないわけではなかった。作業していれば時間が経つのも早いし、数人ではあるが雑談できるような顔見知りもできた。
しかし、これを本業としてやっていくのはなにか違う。
私はまだそんな年齢ではないはず。このバイトはあくまで次の仕事が見つかるまでのつなぎなのだ。
深夜帯のアルバイトだったので、勤務が終わるのは23時過ぎ。帰路の際は、職場と最寄り駅の間を運行する従業員専用の送迎バスを利用していた。
疲れた体を座席に沈め、ぼんやりと車窓を眺めていると、窓の外には都心の華やかなビル群が見える。
『これから先もこんな生活が続くのだろうか？俺はもう終わったのかもしれない…』
このときの絶望感は今でも忘れることができない。転落人生と呼ぶにふさわしい生活だった。
絶望的な無職はこのまま朽ちていくのか？はたして希望の光は見えるのか？
